――本を出版された今、改めてお母さんとの生活を振り返ってみて、思うことなどはありますか。
まりげさん(以下、まりげ)「心の病気との向き合い方はマラソンみたいなものだと思っています。長い期間をかけて回復していくので焦らないことが大事です。マラソンで母が走る人だとしたら、
自分が横にぴったりくっついて走るんじゃなくて、みんなでチームになって支えることが大切だと思いました。
沿道で応援する人、スポーツドリンクを渡す人などそれぞれの得意分野で支え合えば良かったと思いますし、チームは家族だけではなく専門家にも入ってもらうことが大事です。私も担当医の先生にたくさん相談や質問をしましたし、いろんな人に頼ることの大切さを知りました」
――専門家にも入ってもらってチームをつくるということですね。
まりげ「あとは、病気の当事者だけではなく自分のケアがとても大事です。共倒れじゃないですが、自分が倒れてしまったら当事者をケアすることもできませんし、当事者が『自分のせいでこんなことに』とさらに苦しむことにもなります。
私は『
精神保健福祉センター*』という国の機関に電話をして自分自身の相談をしました。当事者じゃない家族だからこその悩みに、専門家の方がきちんと相談にのってくださいます。初めて精神保健福祉センターに電話をしたとき、精神保健福祉士さんに『よくここを見つけて電話をかけてくれましたね』と言われて、気付いたら泣きながら話を聞いてもらっていました」
――精神保健福祉センターという機関を、まりげさんの漫画で初めて知りました。
まりげ「私もネットで『うつ 家族 相談』などのキーワードを入れてたどり着きました。全都道府県に設置することが義務付けられていて、病気の当事者だけではなくその家族も相談ができます。専門家やプロにサポートしてもらうことはとても意味があることだと思います」