Vol.24 世帯年収2000万超えのパワーカップルが離婚。夫を苦しめ続けた妻の「要求」
「妻と似た女性」と再婚した理由
遠山さんの言葉に滲むもの
好奇心旺盛のキラキラした目で、楽しそうに話す遠山さん。
「男性はもともと自営業だったけどうまくいかなくて、少し前にサラリーマンになったみたいでした。女性が『会社どう?』って聞いたら、男性が自信満々に『ボーナスがあるんだよ!』って答えたんです」
興奮気味に続ける。
「その時に初めて、こんなにも違う世界があるんだって思いました。ボーナスがあるなんて当たり前じゃないですか。なのに『ボーナスがある』ことに感動する人間がこの世に存在するというのが、すごいと思って。これは発見でした」
驚いた。遠山さんに、である。「ボーナスがある」のは今のご時世、決して「当たり前」ではない。
「東京都の年収中央値が、570万とかでしたっけ。正直こっちは世帯年収2000万だから、そういう人たちと接点を持ったり、交流をする機会はまったくない。だからモツ煮込み屋みたいな世界の話って、ほんと新鮮で」
奈津さんが何に怒っていたのか、少しだけわかった気がした。
【ぼくたちの離婚 Vol.24 上級国民の余裕】
<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。映画配給会社、出版社を経て2013年よりフリーランス。著書に『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)、『オトメゴコロスタディーズ』(サイゾー)『ぼくたちの離婚』(角川新書)、コミック『ぼくたちの離婚1~2』(漫画:雨群、集英社)(漫画:雨群、集英社)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)がある。【WEB】inadatoyoshi.com 【Twitter】@Yutaka_Kasuga


