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北欧に憧れ寿司職人として33歳でフィンランド移住!話題のエッセイ漫画著者を取材

フィンランドの魅力、2つの「距離感」

――chikaさんはなぜフィンランドを好きになったのでしょうか? chikaさん(以下、chika):私の誕生日が12月25日のクリスマスなので、子どもの頃からサンタさんが大好きだったんです。「サンタさんが住んでいる国」としてフィンランドに興味を持ったのが最初のきっかけです。 ずっとフィンランドに行ってみたくて大学時代に初めてフィンランドを訪れて一目惚れしてしまいました。 ――フィンランドの魅力はどんなところなのでしょうか? chika:「距離感」と「静けさ」の2つがあると思います。距離感でいうと「人との距離感」と「自然との距離感」が自分にフィットしていると感じました。フィンランドの人々は「自分の好きなことを大事にしている」ことが印象的で、お互いに好きなことが違っていても押し付け合わない心地良さがありました。 私が育った環境では好きなことが一般とズレていると「ちょっと変なんじゃない?」と言われることが多かったんです。でも皆が好きなものを好きだと言えると、「こんな良い距離感が生まれるのか」と思いました。 また、自然との距離感が近くて首都ヘルシンキでも少し歩けば森や湖にふらっと行くことができます。日本でいうと東京駅のようなヘルシンキ中央駅から、徒歩10分もかからずトーロ湾という水辺に行くことができるので驚きです。街のデザインが「都会か、田舎か」選ばなくても良い形になっていて、すごく嬉しくなったことを覚えています。
(画像:世界文化社プレスリリースより)

(画像:世界文化社プレスリリースより)

――chikaさんは自然の多い場所に住みたい気持ちがあったのでしょうか? chika:小学校6年生の1年間だけ、山村留学という形で奈良県の東吉野村に住んでいたことがあるんです。ものすごく自然豊かな環境に住んだ経験をした中で、私が感じた都市と田舎のそれぞれの良いところがフィンランドの街に全て詰まっているように感じました。「こんな素敵な場所があるんだ、住みたいな」と思うようになりました。 もう1つの「静けさ」という点では、街がすごく静かなんです。駅のアナウンスが一切無くて、電車がスーッと入ってきてそのまま去って行ったり、ヘルシンキを歩いていても車が1番うるさいくらいで、あとはそよ風の音が聞こえるくらい静かです。街全体に音と空間の余白があるのが自分に合っていると感じました。 フィンランドの人達は無口でシャイな方が多くて、一緒にいるとずっと沈黙が続くんです。でも不思議と気まずくないことに最初はビックリしました。長年の親友といる時の沈黙のような、間を埋めなくてもいい自然体でいられる静けさがあると思います。

「辛い経験の意味は後から分かる」『北欧こじらせ日記』執筆のきっかけ

『北欧こじらせ日記』週末北欧部 chika (著)

『北欧こじらせ日記』週末北欧部 chika (著)

――chikaさんが『北欧こじらせ日記』を描き始めたきっかけは何だったのでしょうか? chika:昔から絵を描くのは好きだったのですが、今のような形で漫画を描き始めたのは2020年頃に入院したことがきっかけなんです。 急性膵炎で2、3か月近く会社を休んで入院し、その後自宅療養が続く期間がありました。その頃は、フィンランドに移住することを目指して寿司学校に通っていた時期だったので、学校も会社も休むことになりました。 「どう過ごそうかな」と思ったのですが、ずっと絵を描きたかったので「自分の好きなフィンランドについて100個絵を描いてみよう」と思ったんです。それをSNSにシェアしたことがきっかけで書籍化の声を掛けていただいて初めての本『マイフィンランドルーティン100』(ワニブックス)ができるきっかけになりました。 入院する時に当時の上司に「仕事は気にせず休みなさい、きっとこれも意味のある時間だと思うし、その意味は後になって分かるはずだから」という言葉を掛けていただきました。今振り返ると「自分のライフワークである漫画に繋がる時間だったんだな」と思います。 ――すごくいい言葉ですね。ちなみにchikaさんの自画像の由来は何なのでしょうか? chika:自画像については「餅ですか?」など色々なお言葉をいただくことがあります(笑)。カモメをモチーフに、サンタ帽を被っているキャラクターをイメージしています。フィンランドはカモメがすごく多いのと、フィンランドを舞台にした『かもめ食堂』という有名な映画が好きなんです。フィンランドに興味を持ったきっかけが、「私の誕生日のサンタさんが住んでいる国」ということもあってサンタ帽をかぶせました。
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「人生で今が1番幸せ」フィンランド移住後の日常
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