――ではあの動画は、まさにリテイクなしで一発で撮ったのでしょうか。
白水:そうなんです。見ている方は色んなシーンを省いたり加えたりと演出があるように感じるかもしれないですけど、本番一回撮り下ろしで編集しています。ネットでは出演者の親子さんはオーディションをしてキャスティングしたなどの噂も流れていますが、実際は
知り合いの知り合いに頼み込んでとかで、ギリギリ集まった5組の皆さんです(笑)。

WEB動画『「パパ検定」~世界一簡単な問題です~』より
――大変でしたね…! 撮影中はどのように進みましたか?
白水:実は事前に撮影された子ども側の映像をお父さんは見ているのですけど、グズる弟をお兄ちゃんがフォローしてる姿とかも入っているんです。その姿を見たお父さんは「ああ、ちゃんとお兄ちゃんしてるんだな」って感じたと思うんですよね。問題に答える場面以外でも、お父さんたちの心を揺さぶったのではないかと。
子どもたちが、父親本人ですら覚えていないような“好きな色”や“好きな季節”だとかを些細な会話からキチンと記憶しているシーンもあり、感情はどんどん高ぶっていったのだと思います。
“行政っぽくない”ものができ上がり、素晴らしいと感じた
――ドキュメンタリーを「検定」としたのはなぜなのでしょうか。
白水:啓発動画とはいえ他人の親子をただ見せられるだけでは興味がわかないかなと思ったので、続きを見たくなる仕掛けを作りました。
まずパパが受ける検定かと思いきや子どもが受ける検定というところで意外性を持たせ、父親の立場の人だったら「自分の子どもだったらどんな反応するかな」とか「自分だったら何点をつけてくれるだろう」と日頃を振り返るきっかけにしたかったのです。

WEB動画『「パパ検定」~世界一簡単な問題です~』より
――長崎県さんは最初にこの動画の仕上がりを見て、どう思われましたか。
山本:われわれが意図した以上に“行政っぽくない”ものができ上がってきて、とても素晴らしいと感じました。行政は「イクメン」「カジメン」などの分かりやすい言葉を使うことが多いのですが、そういった言葉をバン! と出さずして、長崎県として伝えたいことが動画に収まっていました。今回の取材に合わせて私も何回か見返しましたけど、もう何度見ても泣けるんですよね。