「悩む稲垣吾郎」がすばらしい。私たちを静かに肯定してくれる映画『窓辺にて』を読み解く
タイトルのイメージは「静かな肯定」
最後に、『窓辺にて』というタイトルについての、今泉力哉監督の言葉を記していこう。
「窓の外から光が差すシーンがいくつも出てきます。我々がどんな選択をしても、窓辺の光はいつも同じくそこにあって、照らしたり温めてくれたりする。静かに肯定してくれる。そういうイメージで私は(『窓辺にて』というタイトルを)捉えています。ただ、そこも観る人によって、それぞれの意味で捉えていただければいいなと思います」(プレス資料・今泉力哉監督『窓辺にて』オフィシャルインタビューより)
劇中の多くの会話劇で、登場人物たちは窓辺にて、会話をすることで救いを得たりもするし、そこを照らす光は静かに肯定してくれる。本作を表すのに、これ以上のタイトルはないだろう。これからは日常のなんでもないようなことから、もっと幸せを得られるような気がする……そんなふうに、世界が違って見える映画を観たい人に、強く本作をおすすめする。
<文/ヒナタカ>
ヒナタカ
WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「CINEMAS+」、紙媒体『月刊総務』などで記事を執筆中の映画ライター。Xアカウント:@HinatakaJeF






