
純度が高いグラニュー糖
京風すき焼きの特徴は、関東風のように「割り下(だし汁に醤油、砂糖、みりん、酒などで味付けした煮汁)」を使わない点にあります。
これは牛脂をなじませた鉄鍋で牛肉を焼き、砂糖や醤油などで調理することで、肉の脂身を強く感じられる手法で、肉と野菜を交互に調理することで、常に変化する鍋の状態を昆布出汁や水などで調整しながら仕上げていきます。
この際に重要なのが、砂糖の種類。日本の家庭で主流(違う家庭もあります)の上白糖ではなく、グラニュー糖がオススメなんだそう。グラニュー糖はあめ状態になりづらい特徴があり、雑味がなくすっきりとしたすき焼きを作ることができます。

牛肉の脂身や旨味をしっかり堪能できるのが、京風の醍醐味です

東京會舘で提供されていた牛肉。霜降り加減は適度な感じ
おいしいすき焼きを作るためには、A5ランクの霜降りたっぷりな牛肉を使わないとと思っている人がいるかもしれませんが、あまりに脂身が多いのは過剰だそうです。
A4くらいにとどめて、野菜の繊維質と合わせて味わっていくのが良いバランスとのこと。また、現代人はよく噛んで食べる習慣が弱いため霜降り肉が食べやすくもありますが、お肉本来のおいしさや食感は赤身にあることを忘れてはなりません。
以上3点をふまえて、自宅で京風すき焼きを作ってみました。まずは醤油、グラニュー糖、昆布だしを用意。牛脂で肉と野菜を焼きながら、味付けをしていきましょう。
割り下スタイルよりも途中で味の調整がしやすく、一度慣れてしまえば簡単で失敗がありません。野菜は玉ねぎの他、春菊、キノコ類を。焼き豆腐やしらたき、丁字麩も定番だそうです。今回は丁字麩がなかったので、かまぼこで代用しました。

自宅で作ってみたところ、いつもよりもおいしいすき焼きが完成。調理も簡単です
今回改めて、「すき焼きってこんなにシンプルでおいしかったのか!」と再確認することができました。みなさんもぜひ一度お試しください!
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<取材・文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>