最初のうちは、これから仕事をがんばりたい男の子を見守るお姉さん的な気持ちもあった。彼に仕事で成功してほしくて面倒を見てあげている気分もあった。が、身体の関係がはじまり、彼女が彼に夢中になるにつれて、普段の電話やメールのやりとりも彼主導になっていった。

「今度いつ会う? 来週の火曜日は? なんて私がメールすると、基本的には“また連絡するね”って返事が来るようになったんです。約束してくれないからこっちはやきもきするでしょう? でも前日くらいまで、なんの約束もないんです。たとえばその間、私のサイト構築のことでメールでやりとりをしていても、デートの予定を尋ねると“予定たったら連絡するね”と待たされる……完全に彼のペースでした」
依頼していたウェブ制作は倍額すぐに支払うことに!?
「彼に依頼していたサイト制作は、もともとはトータル10万円を、制作し終えたら支払うという約束でした。なのにメールが来て
“やっぱり20万円を前払いでお願いね”って。こっちは依頼内容を変えていないのに、どう考えてもおかしいですよね?
でも私は、彼を好きな気持ちが先行してしまい“わかった”って返事をして、その数日後には20万円を振り込んじゃったんです」
その後もしばらくは順調にサイト構築が進んだ。振り込んだ1週間後には会って飲んでセックスもした。いつもと変わらず、普通だった。でも、その数日後。彼から冷たいメールが来たのだ。
「その日は雑誌の撮影で、都内のスタジオでスタイリングをしていたんです。夕方に仕事を終えて、スタジオの隅で帰宅の準備。携帯メールの着信音が鳴るのでチェックすると、ケンから来ていました。“やっぱ、サイト制作は僕には無理。お金は使っちゃった、ごめんなさい”って。私、え、嘘でしょ? もう20万円払ってるよ? と思いましたよね。
急いで荷物をまとめてスタジオを出て、駅まで歩きながら携帯に電話したけど留守電だし。“なんで? どうしたの?”とメールしても返事はないし。うん……そうそう。当時はまだLINEじゃなくてメールでした。もうLINEの人がいたころだったのかなぁ……私たちはメールでしたね」
結局、彼と再び連絡がとれたのは、それから3日後だったという。