――カウンセリングでは、夫のノダDさんが子どもにキレてしまう原因として「自信のなさ」が指摘されていました。自己肯定感が低いために、子どもに反抗されると自分自身が否定されたように感じたり、キレてしまう人は結構多いのではないかと思います。
水谷さるころさん(以下、水谷):自信がないからキレるという人は一定数いるんじゃないかなと思います。
でも、あくまでもこれは夫のケースなので、例えば支配欲が強かったり、衝動性が高くてキレる人もいると思います。夫の場合は心理テストの結果では衝動性があまりないことがわかりました。私にとってそれは意外だったのですが、そのことでキレる原因が他にあることが分かってきました。
何が心のフックになってキレてしまうのか教えてもらえるのがカウンセリングの良いところだと思いました。「キレる」というのは感情的な行動なので、心の中で何が起こっているのか本人が理解しないとコントロールできないと思います。
――カウンセリングを受けなければ原因は分からなかったと思いますか?
水谷:一緒に暮らして会話をしていると何となくは分かるんです。ただ、プロにエビデンスに基づいて説明してもらうことで問題がすごく分かりやすくなったので、カウンセリングに行って本当によかったです。
これまでは私が夫に「こうなんじゃないの?」と言ってもすぐには響かなかったのですが、客観的な裏付けがあることで説得力が増したし、お互いに納得感と理解度が上がりました。
――カウンセリングを受けた後、ノダDさんが「息子に対して、自分の理想と違うから怒っていたと分かって反省した」と言っていました。そういう傾向はこれまでにもあったのでしょうか?
水谷:「理想」というと素敵な感じがしますが、うちの夫の場合はすぐに「想定」してしまうんです。先日、私の友人達と忘年会をする予定があったのですが、開始時間など詳細がなかなか決まらなかったんです。それで直前になって「お昼に集合するよ」と言ったら彼が「えっ! なんで昼なの?!」といい出して。彼の中で「忘年会といえば夕方から始めて数時間で終わるもの」と勝手に想定していたようで、「どうして昼から?」「なんでそんな長時間なの?」と不満げに言われました。きっと「何も決まっていない」という状態がストレスだから、勝手に想定してしまうんだと思います。
でも私にとっては何も想定しないのが当たり前なんです。例えば私は夫が飲み会に行っても何時に帰ってくるか想定しないので、遅くなっても怒りを感じません。でも夫は「何時には帰ってくるはず」と想定するので、「思ってたのと違う!」とストレスを感じてしまうんです。
――理想を持っていたり、根拠のない想定をすると怒る機会が増えてしまうんですね。
水谷:でもカウンセリングで私は「他者にまったく期待してない」と言われたのですが、「そういう人はほとんどいません」ということでした。私みたいに何事も想定せずに、すべてを受け入れる感覚の人のほうが少ないみたいです。そういう差があるとわかると「ああ、また期待と違ったから怒ってるのね」と思えるようになってよかったです。なんで怒ってるの? と思うより理由がわかるほうがストレスが軽減します。ただ、「期待も想定もしない」私のほうが圧倒的に怒る機会が少なく、夫の怒りを受け入れることが多いので「ズルいなあ」と思います(笑)。