手術中はうまく指示通りに動けず、看護師たちには半ば呆れられて怒られてばかりの深夜だが、産まれてきた赤ちゃんを前にカチコチの変顔をやったりする不器用だけれど、律儀な性格には好感が持てる。
休憩室で院長の麻呂川三平(光石研)に励まされると、新しい命が誕生することの奇跡と感動についていきなり演説口調で話しはじめてしまう。話し終えて、思わず息が上がってしまっていた自分にあっと反省の表情を見せたりするあたり、ディーンの低音ボイスでひと息に流れるからよりコミカルに映る。
一応はイケメン新米医者で通っているらしく、このクールな低音ボイスだし、二枚目ではないけれど、三枚目ともいいきれない。二枚目と三枚目のすれすれのところでの演技。単にクール、単にコミカルとは表現できない微妙な細やかさがディーンの真骨頂といえそうだ。
新米医師とはいっても、深夜は45歳。医大には30代後半で通ったというのだからかなりの苦労人でもある。でも彼は苦労をにじませる代わりにすごくキュートな顔ばかり見せてくれる。それを1980年生まれ、現在42歳のディーン・フジオカが演じるギャップには萌えずにいられない。
尿検査のカップをかぶって廊下にどてんと倒れている大きな身体。座敷の小さな机のパソコンに身体を縮めて打ち込んだり、上司である雪宮鈴(吉高由里子)のアドバイスを熱心にメモしたりする折り目正しさ。あるいはケーキをおごるといって馬鹿騒ぎしている院長を横目に全員分のお茶をさっそく注ぎはじめる健気さ。お茶を入れるとき、両手がふさがっているために食べていたおにぎりをパクっとくわえていたり。
大きく野性的な身体とのギャップ萌えビジュアルの数々は、あげはじめたらきりがない。『ダメ恋』でもドSなのに実は優しいというキャラクターのギャップが印象的だったが、本作は40代のディーン・フジオカが繰り出すギャップ萌えの宝庫。 “萌え超人”ディーン・フジオカの新しい姿がここにある。