NHK『大奥』、仲里依紗の“圧倒的な存在感”がスゴすぎ!初時代劇とは思えん
NHK男女逆転『大奥』の第5話が放送され、<三代将軍家光・万里小路有功編>から<五代将軍綱吉・右衛門佐編>へとバトンタッチ。福士蒼汰と堀田真由による切なく美しい物語が終わりを迎えたことに後ろ髪をひかれつつ、お待ちかねの山本耕史×仲里依紗の濃ゆいコンビのお目見えに、現金だと言われようとワクワクが復活した人も多いはず。綱吉編では、強烈な光を受けて、闇が浮き立つ。
穏やかな日々を過ごしているかに見えた有功だったが、人はそう単純なものではない。それが、家光が懐妊し、皮肉にも想いのみから有功を褥(しとね)に呼んだことで露呈する。「やっとそなたと」と喜びを口にする家光に、「私は怖いのです。上様のお心という、いつ変わるとも知れぬものにすがって生きていくことが」「どうか、男と女のこの恐ろしい業から、私を解き放ってくださいませ」と懇願する有功。
そうして、男女逆転大奥の世界において、非常に重要な役割である“大奥総取締”が誕生した。原作では、皆の上に立って水を注ぐがごとき、凛々しくも泰然とした有功の姿であったが、福士蒼汰の肉体を伴った実写では、「みなの思いに寄り添い、渇きを癒し、涙を洗い、時に四季を写し、なぐさめる。水の流れのようにここにありたいと望んでいる」と、みなの心に等しく染み渡るよう語り掛ける有功だった。八代将軍吉宗の世の水野祐之進(中島裕翔)に引き継がれた流水紋の裃だが、その際には、よどんだ空気を断ち切る1本の強く澄んだ川の流れのように、違った趣を与えていたのも面白い。
有功は、大奥の男たちそれぞれに役目を与えていった。大奥総取締という役を得たことで、自らが生きる力を得たように、役目が人を生かすことを、悟りを開いた僧ではなく、ひとりの男として「嫉妬、羨望、孤独」の中で生きた時間が導き出した道だった。
さて、運命に翻弄されながらも、自分の足で踏ん張り舵を取り続けた強き女性・家光は27歳の短い生涯を終えた。以前、有功が「この業から解き放ってください」と願った際に、「“心だけ”では足らぬか」と問うた家光だったが、死を前にして「わしたちは“心しか”なかったから。唯一のかけがえのない者となれた」と自らに答えを出した。そして、有功からの「千恵様」の呼びかけに「うん」と笑顔を見せ、千恵として、もっとも愛する者の手のなかで息を引き取った。
本ドラマは森下佳子の脚色が真に素晴らしく、この家光最期の「千恵様」のくだりもオリジナルである。それも、森下が原作へ最大のリスペクトを持っているからこそ生み出されたことが強く伝わってくる流れであり、原作ファンにもドラマファンにも、家光にも温かなギフトのようなラストとなった。そして家光の死を見届けた有功は、もう一度、「千恵様」と声に出した。かみしめるように。自分のために。
ついに流水紋の裃を着た福士蒼汰・大奥総取締の姿が!
最後にもう一度、自分のために「千恵様」と呼んだ有功
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