「お腹すいたと言ったら、父にビンタされた」殴られて育った女性“25年後”の胸のうち
馬場ふみか演じる専業主婦がモラハラ夫を社会的に抹殺しようと計画するドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京系、火曜深夜0時30分~)。話題のドラマを、夫婦関係について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。
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ドラマ「夫を社会的に抹殺する5つの方法」(テレビ東京系)第8話では、衝撃的なことが判明した。茜(馬場ふみか)に、夫への復讐をうながし、手助けしてきた「仮面さん」は、当の夫、大輔(野村周平)だったのだ。
茜はそう感じて、大輔の姉・和美を訪ねる。和美が重い口を開いて話したところによれば、大輔は小さい頃から親に虐待されていたらしい。それが会社経営者の父の“帝王学”だったのか、息子を溺愛するあまり愛情のかけかたを間違った母親のしたことなのかは、まだわからない。
その結果、大輔は、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)となった。子どもの頃に虐待された人に起こりうる現象で、我慢の限界を超えると、被害を受け止める人格が別にできあがってしまうのだ。
それを受け止めつつ、茜はどういう行動に出るのだろうか。
幼いころ、虐待を受けていた人はたとえ精神的な病にならなかったとしても、どこかがいびつになってしまうことが多いのかもしれない。
「私は父と兄から暴力を受けていました」
そう話すのは、ミサトさん(仮名・33歳)だ。小学校2年のとき、母が家から出て行った。
「行かないでと母に泣いてすがったけど、『ごめんね』と母は泣いて私を振り切った。『必ず迎えに来るから』と言ったくせに来てくれなかった」
それからは父親と3歳年上の兄との3人暮らしとなった。父はパンや餅などは買っておいてくれたから、それを食べて学校へ行った。いくらかお金は置いてあったが、兄は自分の夕飯をそれで買って、ミサトさんに何か食べさせようとはしなかった。
そのうち、父親のストレスが増していったのか、あるいは逃げた妻への怒りなのか、ミサトさんに八つ当たりするようになった。

ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(画像はリリースより、以下同)