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「お腹すいたと言ったら、父にビンタされた」殴られて育った女性“25年後”の胸のうち

殴るのは愛情ではないと、ようやくわかった

「あるとき、私たちのことが社内で噂になって、彼が『ミサトとつきあってるの?』とみんなの前で聞かれたんです。彼はつきあってるわけないじゃん、こんな鈍くさい女とって言った。照れてるのかなと思って彼を見たら、憎悪のまなざしで私を睨んでいた。私、そのまま倒れてしまったんですよ、社内で」 それが24歳のときだった。会社の医務室に親切な女性ドクターがいて、精神科医を紹介してくれた。彼女は会社を辞め、アルバイトをしながら治療を優先させた。 「殴るのは愛情ではないということが、ようやくわかったのはそれから数年たってからですね。本当に吹っ切れたとは今でも言えないかもしれないけど、30歳くらいでようやく落ち着きました」

大人の都合で暴力をふるわれた子の心は

そこから人生をやり直している最中だとミサトさんは微笑んだ。ちなみに彼女の兄は、結婚したもののDVで離婚、その後はどこにいるかわからない。父はひとりで実家に暮らしているらしい。 「叔母によれば、母は元気でいるようです。私には申し訳なくて会えない、と言っているらしいけど、私は母には会いたい気もしています。もう少し時間が必要だとは思うけど」 彼女は精神が崩壊する前に自ら逃げた。それでも長年、苦しんできた。肉体的・精神的暴力は、体のケガの有無に関係なく人の心を殺してしまう。大人の都合で暴力をふるわれた子の心は、生涯、傷ついたままなのかもしれない。 【関連記事】⇒子どもに母乳をあげていたら夫に襲われ「断ると殴られた」DV夫との“生き地獄”な日々 【関連記事】⇒「だらしない体型だな」妻を見下す不倫夫。義母と組んで“最高の復讐”してやった <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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