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子どもに母乳をあげていたら夫に襲われ「断ると殴られた」DV夫との“生き地獄”な日々

馬場ふみか演じる専業主婦が、モラハラ夫(野村周平)を社会的に抹殺しようと計画するドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京系、火曜深夜0時30分~)。話題のドラマを、夫婦関係について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。

夫に「クズ」と言われて「ごめんなさい」と謝る妻がつらい

ドラマだとわかっていても胸が痛む、もしくは胸くそ悪いと感じることはある。ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』の初回は見ていて苦しかった。それだけ俳優の演技がうまかったとも言えるのかもしれない。 奥田茜(馬場ふみか)は、新進気鋭の広告マンである大輔(野村周平)と結婚して1年。夫はいずれ奥田産業という実家を継ぐ予定だ。ところがこの夫のモラハラがひどい。ドラマ冒頭、広くてきれいなマンションのダイニングが映る。おいしそうなカボチャのスープの色も美しい。テーブルにはホテルのような色とりどりの料理が並ぶ。スコーンも茜が焼いたものだ。冷めないうちに、夫にスープを飲んでもらいたくて、茜は早めに声をかける。
だが起きてきた大輔は、食卓に見向きもせず水を飲み、「プレゼンの準備もあるから、もう出るわ」と言い放つ。そんな……と戸惑う茜に向かい、「やめろよ、その顔」と強烈な一言。「会社行く前から疲れるわ」と投げやりな言い方で追い打ちをかける。 夫に「クズ」と言われて「ごめんなさい」と謝る妻がつらい。

子どもができて“生き地獄”を抜けられるはずだったのに

義母からは「結婚して1年たつのにまだ子どもができないのか」と責められ、茜は日記に「生き地獄だ」と書いて消す。子どもができれば大輔さんも変わるはず、と。 そして待望の妊娠がわかり、出張中の大輔が帰宅する日に打ち明けようと胸が弾む。ところが大輔は帰宅が午前2時を回る。かつての後輩から、「茜さんと入れ違いに新卒で入ってきた女性と奥田さんが親しい」と聞いていたが、帰宅した大輔から香水の匂いがたちこめて、彼女は抱き寄せようとした大輔から思わず体を離す。と、夫から突き飛ばされて壁に背中を打ち付けてしまう。 夫は拳を握りしめているが、殴打はしない。 「1年かけてわかった。おまえといるとイライラする」 夫は捨て台詞を残して出ていく。そのとき茜は出血、子どもはどうやら流産したらしい。そこから茜の夫への信頼と愛情は、憎悪と復讐心に変わっていく。そこへ謎の手紙が届いて……。 こんなモラハラをされたら、メンタルの弱い人であればうつ状態になって当然というような展開だった。ドラマだからモラハラが凝縮されてしまうのだろうが、これは「あり得ないできごと」ではない。 全国の配偶者暴力相談支援センターと「DV相談プラス」に寄せられたDV相談件数の推移を見ると、2020年度の相談件数は18万2188件にのぼり、2019年度の約1.5倍となる。これはコロナ禍の影響もあるのだろうが、コロナ禍で閉塞感があるからDVが起こるということじたいが異様だ。 2021年度の相談件数は17万6967件。2020年度より減少しているが、毎月1万4000~1万6000件程の相談が寄せられているわけで、高水準で推移していることがわかる。 実際にこれがDVだと気づき、そこからようやく逃れたというアキホさん(仮名・40歳)という女性が自身の体験を話してくれた。
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