子どもが産まれてから半年後、ようやく従姉妹に会えたとき、従姉妹がアキホさんに「
どうしてビクビクしているの?」と尋ねてきた。物音がするとビクつくクセがついていたのだ。夫は機嫌が悪いと、ドアを力任せに開閉したり、カップをテーブルに音を立てて置いた。だから物音に反応するようになっていたのだ。

従姉妹に次々にいろいろ聞かれて、ぽつりぽつりと答えていると、従姉妹が「
それはDVだよ。アキホちゃん、冷静になって。ビクビクしながら暮らすのってヘンでしょ。それにあなた、まったく笑わなくなってる」と指摘した。
「
そこからようやく自分がおかれている状況がおかしいと気づいていくんです。夫から離れるまで2年かかりました」
さまざまな葛藤がありつつも、従姉妹をはじめ周囲の人たちの助けを借りながら彼女はやっと夫から脱することができた。
「今は6歳になる娘とふたり、なんとか暮らしています。夫とは離婚以来、会っていませんが、今でもときどきあの頃の夢を見て飛び起きることがある。そのたびに、いや、もう私は自由なんだと自分に言い聞かせています」

ドラマの件を話すと、アキホさんは「
私も復讐できるほど気が強ければ……。あの当時はそんなふうには考えられなかったけど」とつぶやいた。
ドラマで茜は夫にどんな復讐をしかけていくのだろうか。
<文/亀山早苗>