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「りゅうちぇるへのバッシングが身につまされる」子どもがほしいトランス男性が苦悩する理由とは

ジェンダーニュートラル性別なんて、問題がない人にとってはまったく気にもならないものだろう。しかし問題を抱えた人にとって、性別はあらゆる場面で障壁となる。それを是正するために、法整備は必要だろう。

トランスジェンダー差別が激化する今

ネット上の一部で議論となっている、トランス女性と女風呂の問題は、非トランスジェンダーの人がトランスジェンダーのフリをするという、当事者不在の議論ではないだろうか。風呂の覗きは、性的マイノリティの問題ではなく、性犯罪・性暴力の文脈でぜひ熱く議論すべきだ。 性的マイノリティが覗きという犯罪者の隠れ蓑になることも、差別そのものだろう。むしろ、トランス女性は、元男性を理由に排除される一方、女性性を理由に被害にさらされることも少なくない。 それでなくとも、性別が一致しないというのは、風呂場以外にもたくさんの場面で様々な不都合がある。家探し然り、職探し然り。

少数者への差別解消がもたらすもの

駅のエレベーターやスロープ設置など「バリアフリー」に似ている気がする。2006年、障害者や高齢者の移動の円滑化を促進するための法律として、いわゆる「バリアフリー新法」が制定され、スロープや駅のホームドアの設置など、少しずつ整備が進んでいる。 SakuraIori202303_03b当初は車椅子を利用するなど障害のある人の権利のためにはじまったはずだが、いまや酔っ払いの転落防止になって、多くの人も恩恵を授かっている。私は正直、障害者の権利から始まっていたこと自体忘れていた。 少数者への差別解消は、多くの人の利益につながる。セクシャルマイノリティも同じではないだろうか。少数者の排除ではない、建設的な議論を願わずにいられない。 【佐倉イオリ】 1983年生まれ。幼稚園の頃には「女じゃない」という自覚がありがならも男性が恋愛対象だったことや「他の女の人も皆我慢しているのだろう」と考えたため、女性らしくなろうと試行錯誤。「女性らしくなりたい」「男性に見られたい」と揺らぎながら30歳で男性と結婚。30歳を過ぎてその葛藤が「普遍的な女性の悩み」ではないと気づき始めた。宣伝会議の「編集・ライター養成講座」41期生として執筆した卒業制作で、最優秀賞を獲得 twitter:@sakura_iori3 <文/佐倉イオリ>
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