NHK『らんまん』のディーン・フジオカ初登場シーンがスゴい理由。豊かな表情を読み解く
いやぁ、これはうなった。2023年4月より放送されている神木隆之介主演のNHK連続テレビ小説『らんまん』(月~土曜あさ8時放送)のディーン・フジオカがすごい。
今期の朝ドラ『らんまん』第2話に、颯爽と登場したディーン・フジオカは、さすがの存在感を放っている。初登場場面で必ず心をつかんでくるおディーン様、恐るべし!
後に植物分類学の父となる主人公・槙野万太郎(神木隆之介)が、まだ病弱の坊やだった頃の話。万太郎は、ある立ち話を聞いて、自分が生まれてこなかったほうがよかったのではたいかと思い悩む。実家の大店(酒蔵「峰屋」)を抜け出し、神社の鳥居をくぐる。息を切らせながら長い階段をあがり、社殿の前で悪態をつく。そこへ突風が吹き、怪しげな高笑いが聞こえる。
境内に屹立する大木の上に男が寝そべるように座っている。ひと目見てわかるディーン・フジオカの横顔。なるほど、今回はこうきたか。登場後わずか数秒にして、ディーン扮する天狗(坂本龍馬)が、ただ者ではないことを視聴者に即座に理解させてしまうのだ。
木の上を仰ぎ見る万太郎が、「誰、天狗?」とたずねると、男は「天狗はええにゃ」と答える。間髪入れずに万太郎の元へ舞い降りる。こんな高いところから軽々と飛び降りる神業は、人間離れしている。やはり天狗だからなのか。それとも忍者かなにかか。
この場面でディーンは、実際にワイヤーで身体をつって飛び降りている。さすが筋金入りのアクション俳優。ワイヤーアクションはお手の物だ。まるでキン・フー監督による香港の武侠映画のワンシーンを見ているよう。というか、ドラマ本編映像よりディーンのスタッフがTwitter上に投稿したメイキング的な映像の方にこそ驚く。ドラマ中の演技がほんとうで、実際の撮影風景が嘘みたいな、そんな錯覚を覚えるからだ。
ディーンの演技には、妙に説得力がある。だから本作の坂本龍馬が、もしほんとうに天狗だったとしても全然驚く必要はない。
なにがすごいか。まずは初登場場面でのワイヤーアクションやら、天狗のような武士顔の表情やら、どこもかしこも“おディーン様”づくし。
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、ディーン・フジオカの妙にリアルな演技と“豊かな朝ドラの表情”を読み解く。
登場後わずか数秒にして、ただ者ではない
妙に説得力がある演技
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