坂口健太郎の“田舎の主夫”が最高すぎる…。映画『サイド バイ サイド』に悶絶
映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』が2023年4月14日から公開されている。
後述するように不思議な魅力を持つ作品なのだが、先にこれだけは言わせてほしい。
「映像および坂口健太郎がため息が出るほど美しい」「坂口健太郎を主夫にしたい人は必見」「坂口健太郎の『おいで』で耳が幸せ」だと。
本作の大きな見どころ、それは坂口健太郎が演じる青年を、慈しむように撮っていることだ。
彼には市川実日子演じる看護師の恋人がいて、野菜を水でやさしく洗ったり、恋人の髪を結んであげたり、恋人の幼い娘へ「四季」という言葉の意味をわかりやすく教えたり、一緒に猫をなでたりする様が丁寧に映されている。果ては、ちょっと急いでいる恋人から、濡れている手を自分の服で拭かれても、まったく怒らないどころか少し微笑んでいたりもする。
人当たりも良く親切で周りから好かれており、酪農家のおじさんから「君みたいな息子がいればなあ」と言われれば「いつでも呼んでください」と答えたりする。誰もが「結婚してください」もしくは「養子になってください」と秒で願いたくなるほどに、穏やかでやさしい青年なのだ。
そして、田舎の風景がとても美しく撮られていることに沿うように、坂口健太郎が眠っている時の顔や、ただ佇んでいる様もまた美しく撮られている。「田舎で主夫のような生活をしている坂口健太郎」が最大出力されているので、そこに期待する人には他の何を差し置いても観ていただきたい。
主人公は田舎でただ主夫をしているだけではない。彼は、そこに存在しない“誰かの想い”を見ることができる能力を持っていて、身体の不調に悩む人や、トラウマを抱えた人を癒やすセラピー的な活動もしている。その能力が絡んだ、“そばにいるが他の人には見えない謎の青年の正体”や、“主人公の過去に何があったのか”といった謎が解き明かされる過程も見どころとなっている。
また、主人公は穏やかでやさしい青年だと前述したが、その一方でつかみどころがなく、言ってしまえば“空虚”な印象も持つ役柄でもある。服はベージュの上下の服、もしくは無地のパーカーを着ていて、そこからも生活感がないというか、浮世離れしているようにも見える。しかも彼は中盤で、齋藤飛鳥演じる女性についての、常識的にはあり得ない、異様な状況を恋人にはっきり見せてしまう。
この役を下手に演じてしまったり、キャスティングミスをしてしまうと、過剰に不信感や嫌悪感を持ってしまいかねない。だが、坂口健太郎に独特の透明感があり、ひとつひとつの言葉に誠実さを感じさせる力があるからこそ、絶対的に“神秘的”かつ“信頼したくなる”説得力を持たせることができているのだ。
その異様な状態からの、「落ち着いたらちゃんと話したい、その時には時間をください」という言葉も、きっと信じたくなるだろう。
その神秘的かつ信頼したくなる説得力をさらに増大させるのは、劇中でたびたび告げられる「おいで」という言葉だ。「ちょっと待って」と動悸が激しくなるほど、すべてを預けたくなる「おいで」の破壊力が絶大なので、坂口健太郎ファンは気をしっかり持って、その「おいで」に聞き惚れて、良い意味で悶絶してほしい。
“秒で”「結婚してください」と願いたくなる主夫ぶり

“空虚”でありながら“神秘的”かつ“信頼したくなる”魅力

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【作品情報】
『サイド バイ サイド 隣にいる人』
4月14日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国ロードショー
©2023『サイド バイ サイド』製作委員
『サイド バイ サイド 隣にいる人』
4月14日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか 全国ロードショー
©2023『サイド バイ サイド』製作委員