
エリート学生からアイドルオタクに転生した出来事が、就活に支障をきたしてしまいます。
就活に身が入らないカナエさんの頭の中は常にコンサートや“推しメン”のことばかり。当時は働く自分が全く想像できなかったと言います。
いざ面接を受けてもアルバイト経験がほぼゼロ、追っかけの趣味以外を持たない彼女はなかなか仕事が決まりません。不採用通知のお祈りメールの連続、その度に就職を投げ出したい気持ちが強まります。
結局ご両親の知人に口利きしてもらい、中小企業の事務員として就職。無事に勤め先は決まったものの、手取りが15万円程度。一人暮らしをするにも、追っかけをし続けるのも少し難しい金額でしょう。
カナエさんはようやく現実の厳しさを知るのですが、それでもまだ焦りを感じなかったそうです。
「何かあれば親が出してくれる」。この考えが当たり前となっていたので、たとえお給料が低くとも気になりません。
実家を出ることもなく、家に生活費を入れることもなく……。カナエさんは推し活を続け、遂に子ども部屋おばさんと呼ばれる年齢まで自立しない日々を過ごすこととなるのです。
アイドルオタクだけでは満足できず、時折ホストクラブに行く機会も作っていました。
30歳を超えると次々と友人がゴールインしていき、遊ぶ相手が減って退屈さを覚えていたからです。
もちろんお金は相変わらず、ご両親に頼り続けています。特にお母様とは共依存状態になっており「ずっと家にいてね」と言われていたほど!
けれども、カナエさんは35歳を過ぎて、はじめて自分に対しての危機感を覚えます。きっかけは、推し活仲間兼親友の女性が電撃結婚を果たしたから。
一緒に遊べる相手がほとんどいなくなり、徐々に追っかけにも飽きが来ていたので現実を見る気がやっと湧いたとのことです。
しかし、彼女は35年間彼氏ができたことがありません。一瞬友達以上恋人未満のような存在がいたものの、その恋は叶わずに終わりました。
「恋活」の前にいきなり「婚活」を始めたカナエさん。婚活アプリに登録し、街コンにも足を運んでみるのですが……。そこには厳しい現実が待ち受けているのです。(後編に続きます)
<文/たかなし亜妖>
たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター。業界卒業後は一般企業へ入社。ゲーム制作に携わった過去を持つ。好きな物は漫画、アニメ、映画、美容、占い。そろそろ顔面課金額が数百万円を超えるとか。日刊SPA!等多方面で活躍中。
Twitter:
@takanashiaaya