心と唇が久しぶりに満たされた誠。すなわち、楓との決別を意味する。これまで拒み続けたことへの罪悪感から楓は食事に誘うが、数週間前であれば快諾していたであろうお誘いに誠は「いいよ、無理しなくて」「たまには友達と出かけたら？」と言い放つ。 　そして、寝室に向かう誠の後ろ姿を、楓は冷蔵庫の前でただ立ち尽くしながら見送り、やけに広いキッチンがより一層広く見える。その様子は2人の距離がもう縮まることがないほどに、遠くなっていることを表しているようだった。 　3人はますます引き返せないところまで進んでいるが、誰ともやましい関係に発展していない楓は、いい意味で取り残されている。とはいえ、これまで誠に追いかけられる側だった立場の楓が、今度は追いかける側、拒絶される側に回ることで仕事一本だった心持ちも変化することだろう。4人の関係性がどのように複雑化するのか、心臓に負担がかかるが期待したい。 【関連記事】⇒セックスレス妻の心を折った“夫の強烈な一言”。殺傷力の高さに絶望｜ドラマ『あなたがしてくれなくても』 ＜文／望月悠木＞