「うんこ」を連発する相手と、ムードのあるセックスは無理。“したくない側”の事情|ドラマ『あなたがしてくれなくても』
セックスレスという夫婦のタブーに切り込んだ、30代男女の禁断の恋愛ドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、木曜よる10時~)。話題のドラマを、夫婦関係や不倫について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。
【前回記事】⇒疲れきった妻に「今日だけ頑張れない?」とセックスを迫り…“レスられ夫”の身勝手さが空回る|ドラマ『あなたがしてくれなくても』
ドラマ『あなたがしてくれなくても』第3話。なんだかどんどんせつなくなって胸が痛む。目の前のパートナーから心が離れ、他の異性に目が向くと気が楽になる。新しい扉を開け、何かが始まったような気になる。ところが目先の苛立ちがなくなっただけで、根本的な解決には至っていない。
みち(奈緒)と陽一(永山瑛太)、誠(岩田剛典)と楓(田中みな実)の2組の夫婦はセックスレス。同じ会社に勤めるみちと誠は「セックスレスの戦友」として次第に親しくなっていく。
ある日、陽一に花をプレゼントされ、うれしいながらも不審な思いを消しきれないみち。夫はそんなことをするタイプではないからだ。確かにセロファンに値札がついているような花束をあえて買ってきた夫は「怪しい」。罪悪感を払拭したがっているようだ。陽一は勤務先のカフェのバイト・結衣花(さとうほなみ)に惹かれ始めていたのだ。
陽一は花をプレゼントしたあと、結衣花とのことが刺激となって妻と久々のセックスに挑むが、結局、最後までできなかった。
そして誠は結婚記念日にまで妻と交わることはできなかった。
閉店後の店で関係をもってしまう陽一と結衣花。送ってもらった車の中で、誠と激しいキスをするみち。
夫婦は日常生活をともにする関係。「セックスなんてなくても、オレはみちとつながっている」と考えていた陽一だが、みちはそうは考えていない。
トイレで誠とメッセージのやりとりをするみちに、陽一は外から「うんこ?」と声をかける。みちがトイレから出ると、今度は陽一がトイレにこもる。声をかけられると、陽一は「うんこ、うんこ」と連発。思わず笑ってしまうようなシーンだが、それこそが日常なのだ。「うんこ」を連発する相手と、ムードのあるセックスなどできるはずもない。神秘性がなくなるから、結婚するとレスになるともいえる。
片方が拒絶するという形でレスになると、関係はぎくしゃくする。性的満足がないからイライラするのではなく、相手とのコミュニケーションがとれなくなるからイラつくのだ。何を考えているのかわからない、自分に興味や関心がないなら一緒に住んでいる理由がなくなってしまう。
無意識の駆け引きに男女の機微が漂う
レスのイライラは「性的満足がないから」ではない
ドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)は毎週木曜よる10時より放送中。第4話は5月4日(木)。