一方、誠の妻・楓（田中みな実）も変わろうと努力している。仕事をリモートに切り替えて家にいる時間を作り出し、慣れない料理を作って誠を迎え入れようとする。だがそうやって妻が努力を重ねるほどに、誠の心は冷えていく。 　陽一の変化は目に見えるほどのものではない。みちが料理を作っていると「手伝おうか」とやって来るものの、「大丈夫」と言われると、またソファに座ってゲームをする。その程度のものだ。だが楓の変化は劇的だった。 　それが誠の心の負担になっていくのは想像に難くない。誠は「妻の生活すべてを変えたい」とは思っていないからだ。しかも「変化は遅すぎた」と感じている。今さら何だよ、と。 　今回、もうひとつ興味深かったのは、夫がお弁当を忘れていったために「なんとか関係を修復したい」と思った楓が弁当を持って誠の会社付近までやって来たことだ。 　みちと後輩の華（武田玲奈）と会社前のキッチンカーでランチを買っていると、そこに誠もやってきた。3人でランチをとろうとしたときに楓が近づいてくる。 　楓はたまたま夫を見つけただけなのだろうが、同僚女性に対して「新名の妻です。いつも主人がお世話になっております」と言う。これが不倫未遂状態のみちには堪えた。予期せずに妻に会ってしまったこと、優秀でなおかつ美人副編集長である楓のてきぱきした態度に打ちのめされてしまうのだ。 　みちの気持ちを見抜いていた華から、「不倫は覚悟が必要です」と諭されるみち。その日は食事を作る気にもなれず、夫には具合が悪いとウソをつく。 【Amazonで予約受付中！】⇒ノベライズ本『あなたがしてくれなくても（上）』の詳細はコチラ