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セックスレス夫、妻に拒まれるよりツラい“さらなるどん底”へ。岩田剛典の哀しみの表情がいい|ドラマ『あなたがしてくれなくても』

 岩田剛典。この人の演技は、今、日本の男性俳優でもっとも素晴らしいなと感じる。
6話より

6話より © フジテレビ

『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、毎週木曜日よる10時放送)第5話での“名演”は、シンプルだけれど、それ故に完璧だ。新名誠役にかける岩ちゃんの想いと工夫もひとしお。 「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、最終話へ向けてちょうど折り返した本作で、湧き出るような岩田剛典の演技を解説する。 【Amazonで予約受付中!】⇒ノベライズ本『あなたがしてくれなくても(上)』の詳細はコチラ

顔芸のバリエーション

6話より

6話より

 岩ちゃんの顔芸が、すごすぎる。『あなたがしてくれなくても』の新名誠役は、岩田剛典の相当な演じ込みを感じる。同じ営業部の吉野みち(奈緒)との不倫(あるいは純愛)的な関係性が、ドラマの展開とともに紆余曲折する中、新名の台詞が明らかに減っているのがわかる。  台詞が減った分だけ、ここは見せ場とばかりに、岩田の顔芸的な表情の演技が粒立つ。喜怒哀楽、基本4つのバリエーションを、それぞれリズムをつけながら、表情豊かに演じる。  仕事の忙しさにかまける妻・新名楓(田中みな実)にあいそをつかせ、夫婦関係の溝が深まる第4話から5話にかけて、表情のバリエーションが深化する。喜と哀で潤んだ瞳をする岩田の表情は、特に、これぞ真骨頂だと言わんばかり。

“潤み典”が爆発

 第5話のラストは、ふたつの相反する感情表現が見事だった。翻って献身的に振る舞おうとする楓を避け、新名は、どんどんみちに気持ちが傾く。でもみちを強く求めるようになればなるほど、新名の感情は、から回る。  会社を退勤したあと、エスカレーターで、新名は流星群を見るイベントのチケットを2枚予約する。購入ボタンを押して、満足気な新名が、嬉しさのあまり瞳を潤ませて、ぐっと感情をこめた笑顔を見せる。みちが喜ぶ顔を想像すれば、なおさらのこと。  そのあと、待ち合わせたみちをすぐに誘うと、彼女は、なんと即答で断る。道ならぬ不倫の途中、ひとり取り残された新名のダメージは、かなり大きい。さっきまでの喜びは、どこへやら。哀しみのバロメーターを振り切るくらい痛切な表情をする潤み典(岩田剛典の潤んだ表情)が、ここで爆発する。
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岩ちゃん史上最高の名演
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