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セックスレス夫、妻に拒まれるよりツラい“さらなるどん底”へ。岩田剛典の哀しみの表情がいい|ドラマ『あなたがしてくれなくても』

すべてがさりげなく、シンプルで、完璧

7話より

7話より

 映画やドラマなど、演劇ではなく映像作品に出演する俳優には、こうしたシンプルさが求められる(というのが、筆者の見解)。その意味で岩田は、かなり際立った映像俳優として、演技のマナーを心得た人だと言える。  第6話は、冒頭から、感性が鋭い岩田の演技が、流れるように頻出する。みちから関係解消を唐突に告げられた新名が、「それでも、俺は」と言ってこれまで以上に瞳を潤ませる短いアップ。  次の場面で、家路につく傷心の新名が、マンションの前で風に吹かれる後ろ姿。上の空の新名のネクタイがなびく一瞬も素晴らしい。さらに楓が作ったアクアパッツァを口にして、やや力を込めて発する「うん、美味しいよ」。  すべてがさりげなく、シンプルで、完璧。新名さんの心の状態が、どん底になればなるほど、むしろ岩ちゃんの演技が湧いて出る。  夫との関係をやり直そうとするみちに対して、もんもんとしていく新名が、リビングでひとりかち割りワインをぐびぐび(やけ酒だから、コンビニで買った安い赤かな?)。  みちとの関係性にふんぎりをつけ、覚悟しようとする新名の、うっすらさみしそうだけれど晴れやかな表情など。ドラマが折り返したタイミングともなると、畳かけられる演技の瞬間ばかりで、片時も目が離せない。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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