セックスレスという夫婦のタブーに切り込んだ、30代男女の禁断の恋愛ドラマ『あなたがしてくれなくても』（フジテレビ系、木曜よる10時～）。話題のドラマを、夫婦関係や不倫について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます（以下、亀山さんの寄稿）。 　ドラマ『あなたがしてくれなくても』第5話。パートナー以外の異性に気持ちがありながら、一気に恋に進めないまじめな既婚者たちの事情が掘り下げられた。 　30代で子どもがいない夫婦となれば、結婚してまだ5、6年といったところか。それだからこそ、結婚生活に執着もするし、お互いを理解しあっている自信もないし、新たな恋に踏み込む「覚悟」も持てないのだろう。不倫の恋を前に戸惑い、迷走する吉野みち（奈緒）と新名誠（岩田剛典）の浮き沈みが見え隠れする。 　エレベーターの中での小指てつなぎで恋が進むのかと思いきや、抱き合いかけてみちが涙をこぼした結果、誠からのプラトニックを宣言。さらに今回はガラス越しの手合わせ。一気に恋に進めない大きな要因は、みちが夫の陽一（永山瑛太）に対して心の奥底で愛情を持ち続けているからだろう。 【前回記事】⇒セックスレス妻が上司と“小指だけ不倫”。愚かだと思っても止まらない｜ドラマ『あなたがしてくれなくても』 　ずっと、なかなかのクズっぷりを見せてきた陽一が変化を見せた。カフェでアルバイトをしてくれている結衣花（さとうほなみ）とひょんなことからセックスをしてしまった陽一だが、その後、「あれはなかったことにしてほしい」と頼む。結衣花は受け入れるが、保身に走る陽一に苛立ちが止まらない。 　その後もデリカシーのない陽一の発言にキレた結衣花は、ついには「店長は人の心がわからない人ですね」と言ってしまう。その言葉に陽一は初めて立ち止まり、「どういう意味なのか教えて」と結衣花に迫る。そして自分が彼女を傷つけたこと、今までずっと妻のみちをもそうやって傷つけてきたに違いないことに想像が至る。 　みちから好かれて恋が始まったことに、自分があぐらをかいていたと自覚するのだ。自分とみちのバランスは変わらないと思っていたが、離婚を決めた姉と話して、夫婦は脆（もろ）いものだと心に刻む。 【Amazonで予約受付中！】⇒ノベライズ本『あなたがしてくれなくても（上）』の詳細はコチラ