
出会ってすぐに付き合った2人は順調に交際を進めます。会計は相変わらず小夜子さんが多めに支払う日々ですが、Nさんは高い物をねだるなどを一切しません。財布を出し渋るのをやめ、少しでも収入の高い仕事への転職を試みました。
しかし、なかなか良い職場に巡り合えず苦戦。悩ましい状況から脱せずジタバタする姿を見て、小夜子さんも困ってしまったと言います。
「彼、働いてない期間が長いんですよ。バイト歴も全然だし資格も学歴もない。高卒後すぐにニートしてヒモ生活してたらしいので、書類で落とされることも多々あったかな。ハンデはあれど一生懸命頑張っているのを知ってたから、見ていてかわいそうな気持ちになりました。
結局職場を変えられないまま時間だけが過ぎちゃって……。私は彼との将来にすごく不安を覚えました。好きな気持ちは相変わらずだったけど、ヒモだった過去やこの先の飛躍が難しそうな部分がどうしても気になってしまうんです。
でも、これ以上の相手に出会えるチャンスはもうないかもって思うと、別れる決心もつきませんでした。本当に、人生の分岐点に立たされたような気持ちですよ。このまま関係を進めるか、それとも独身貴族を続けるかで」
小夜子さんは悩み続け、最終的にNさんの低収入・ヒモ気質を受け入れることにします。“惚れた弱み”と言わんばかりに覚悟を決め、勢いで逆プロポーズ!お金を出す代わりに主導権を握るべく、自ら一家の大黒柱への道を選びました。
彼女の年収は約800万円。30代の女性の平均年収と比較すれば、かなり高いお給料を手にしています。
「もう好きだし離れられないからこうするしかない!と思い、プロポーズしました。彼から言ってくることは多分一生ないだろうと予想してたので(苦笑)そしたらまさかの即OK。意外とそう思ってくれてたんだ!?と思ったら、嬉しかったですね。
まぁ、籍を入れるギリギリまで悩みましたけど……。これでいいのか自分の人生?っていう迷いが最後の最後まであったのは紛れもない事実です」
結婚式は挙げずに新たな生活がスタート。波乱万丈な毎日の幕開け……かと思いきや、意外にも穏やかな日々が続いたそう。きっかり定時で上がれる彼が家事をこなし、小夜子さんが働きに出るというスタイルでお互いを支え合います。
同居の際の引っ越し代や家具代、そして現在の生活費のほとんどは彼女持ちだそうですが、他にこれといった問題はなし。現在は結婚4年目に突入し、相変わらず2人の仲は良好。付き合い始めのラブラブさはいまだに冷めることを知りません。
「都心かつ広めの家を借りたので、引っ越し代で貯金が吹っ飛びました(笑)。家具もほとんど買い揃え、ペットをお迎えしたので出費がかなりかさみましたね。こういうの、世間一般ではダンナの役目なんだろうなぁと思ったら、そこだけは周りが羨ましく感じましたけど。
あと、年齢的に諦めていますが子どもは欲しかったですね。まぁ仮に自分が若かったとしても、この彼とではムリがあるか……。ペットの猫2匹が子供の代わりって感じです。
いろいろ妥協した部分は多いですけど、今の生活には概ね満足かな。あの時覚悟を決めなかったら、一生独身コースだったと思いますし、後悔をしていたでしょうね」
彼とのエピソードを振り返る小夜子さん、何だかんだで幸せそうな表情を浮かべています。
はたから見れば複雑そうに思えても、2人にしか分からない深い絆がある。だからこそお互いが幸福だと感じる生活が送れているのでしょう。お話を聞きながら筆者はしみじみとそう思うのでした。
<文/たかなし亜妖>
たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター。業界卒業後は一般企業へ入社。ゲーム制作に携わった過去を持つ。好きな物は漫画、アニメ、映画、美容、占い。そろそろ顔面課金額が数百万円を超えるとか。日刊SPA!等多方面で活躍中。
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@takanashiaaya