
ゴマすりを大人顔負けにできるようになりました
息子の苦労を知らない人からは、「左利きってかっこいいわね!」や「左利きは天才肌!」ということをさんざん言われましたが、実情はそんなにかっこいいものではありません。
文字を書くのはもちろんのこと、子どもの練習箸やハサミも右利きを基本に作られているので、何をやるのも困難の連続。
しかしながらこの状況にクヨクヨしてもはじまりませんから、私は息子が左利きであることに劣等感を抱かせないよう、徹底して“左利きの器用さん”を目指すことにしました。
ゴマすり、海苔刻み、ニンジンすりおろし、野菜型抜き、おせち料理の盛りつけ……。子どもの能力は素晴らしいもので、みるみる上達、大人顔負けのレベルまでになり、少しずつ料理のお手伝いが好きになっていきました。食は勉強やスポーツ以上に身近なので、毎日実践できます。
そして気がついたら、「左利きの自分は器用だぞ」という自信を持てるようになりました。
この頃、私と息子が二人で獲得したことは、「練習すれば絶対にうまくなる」という姿勢だったように思います。私は意識的に、息子は無意識的になのかもしれません。
②料理や食をテーマにした絵本を一緒に読み、実践した

一緒に読んだ食関連の絵本は、自分の世界でも実践できることが魅力。これらの本は今でも宝物です
息子の視力は、近いものにピントが合いにくいという状況でした。つまり、絵本の文字を捉えるために人よりも力が要るという感覚だったのでしょう。
目の矯正には時間と努力が必要だったため、焦らずに文字嫌いを克服していこうと考えました。そして私が選んだのは、食や料理に関連する絵本でした。
息子の大好きな食べ物やキャラクターが出てくる本を探して、まずは私が勝手に一人で読み始めました。
すると息子が、「ママ、読んで!」と言うようになり、次第に「一緒に読もう!」「同じように作ってみたい!」と変わっていったのです。時間はかかりましたが、息子を観察していると明らかに進歩を感じ、継続することに確信が持てるようになりました。
振り返ってみると、ただ読み聞かせをしなかったのが良かったのかもしれません。実際に料理につなげたことで、文字の世界がおいしい食事に変わる喜びを体験できたことが有意義でした。また、一般的に良いとされている読み聞かせは時として押し付けにもなりますから、注意が必要です。