
画像:TBSテレビ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』公式サイトより
ジャンルを問わないのはもちろん、間宮祥太朗は主演もバイプレイヤーもこなす。
咲く場所を選ばない力量をまざまざと見せつけられたのは、ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(通称・ペントレ)で演じた研究者・蓮見涼平役だ。
『ペントレ』は、主演・山田裕貴が演じる萱島直哉らが電車に乗ったところ、約30年後の未来にタイムスリップしてしまった……そんな設定のSFサバイバルストーリーだ。多少の恋愛要素はあるものの、全編をとおして“生きる意味”を問うヒューマンドラマである。
間宮祥太朗が演じた蓮見の立ち位置は、元の世界にいながらにして、タイムスリップの原因を究明する研究者。驚くことに、萱島らが現代に戻ってきて以降も直接のやりとりはない。仲間のひとりである大学院生・加藤祥大(井之脇海)がメールで連絡をとりあう以外に接触はないのだ。それにも関わらず、誰しも認める存在感を放っている。
役柄としては、ほかの役者が演じても大差ないくらいのポジションではあるが、実際にこのドラマを見てみると「間宮祥太朗以外にはありえない」と思えてしまう。この言語化できない説得力こそが、間宮の役者としての魅力に繋がっているように感じる。

画像:フジテレビ『真夏のシンデレラ』公式サイトより
どんな役柄も、作品にぴったりの強さと熱量で表現してきた間宮。そんな彼が、2023年夏クールの月9で正統派な青春ラブストーリーで主演となる(森七菜とW主演)。『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系列)で演じるのは、大手建築会社に勤務する水島健人。
「この夏、一番の恋の予感。」といったキャッチコピーや、主演の二人以外に、神尾楓珠や萩原利久、白濱亜嵐、吉川愛、水上恒司、仁村紗和といった面々が連なることからも、夏ドラマらしいラブストーリーの雰囲気がある。実際にSNS上では「令和版・男女七人夏物語」と称され、期待が高まっている。
予告では、まさに一流大卒で大手建築会社らしくキメた水島(間宮)が、出会ったばかりらしい仲間から「住む世界が違う」と言われている場面も見られる。いわゆる勝ち組男性と、サップのインストラクターとして慎ましく暮らす女性の、身分の違う恋が描かれる……といったところだろうか。
間宮演じる水島は、スペックこそ高いものの、それを居丈高に主張することはない温厚な人物に見える。適度に明るく、行動力もあり、かつ人との距離感も適切にはかれる人柄。それはきっと、これまで出演してきたラブコメ作品でも、あまり見てこなかった。また新たなステージで、間宮祥太朗の表現力がアップデートされそうだ。
<文/北村有>
北村有
葬儀業界を経て2018年からフリーランス。映画やドラマなどエンタメジャンルを中心に、コラムや取材記事を執筆。菅田将暉が好き。