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有吉弘行「涙が…」藤井フミヤの作詞に感激『白い雲のように』が古びない理由

 7月6日放送の『有吉ミュージックフェス』(テレビ東京)で、有吉弘行が「白い雲のように」を歌唱。作詞と作曲を手掛けた、藤井フミヤ、尚之とのテレビ初共演が話題になっています。  猿岩石としてヒッチハイクをしていた当時を振り返り、初めて歌詞を読んだときに「涙が出てきちゃってさ」と思い出を語っていました。

「プロのジャマをしたくない」と企画当初は語っていたが

 昨年の紅白歌合戦(NHK)でもダチョウ倶楽部・純烈と同曲を披露した有吉ですが、今回は企画当初、乗り気ではなかったそう。上島竜兵の死去という大きな出来事があった年の紅白歌合戦とは違い、抵抗があったといいます。
 6月25日放送の自身のラジオ『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN)では、「プロのジャマをしたくないっていうのが、やっぱり一番なのよ」というのがその理由。有吉ならではの照れ隠しと、異なるジャンルのプロに敬意を払う真面目さの両面がうかがえるエピソードですね。  というわけで、改めて聞くと、とても27年前の曲とは思えません。まったく古びていないどころか、49歳になった有吉の説得力が加わって深みを増している。耐用年数の長い曲だと感じたのです。

90年代音楽シーンで人気絶頂の猿岩石が歌った“祭りのあと”の無常観

 理由の一つが、有吉も思わず涙した歌詞。90年代の音楽シーンを振り返ると、やはりラブソングや人生讃歌、応援歌が多かった。中にはPUFFYのようにゆるりと人生を肯定する歌もありましたが、基本的には恋愛と努力が支配的な世界だったと言っていいでしょう。  そんな中、「白い雲のように」の歌詞は脱力、というよりも、むしろ空無(くうむ。むなしいこと、何も無いこと)ですらありました。 <風に吹かれて 消えてゆくのさ 僕らの足跡> (詞・藤井フミヤ)  これが、その当時人気の絶頂にあった猿岩石に歌わせたのがすごい。お祭り騒ぎの最中にあって、すでにフミヤは“祭りのあと”を見ていたかのようです。  この無常観はJポップシーンにおいて珍しい。のちに椎名林檎あたりが戦略的に用いるモチーフですが、フミヤのように日常的なタッチでさらりと表現した例は他にほとんどないのではないでしょうか。  同様に、尚之による曲もシンプルなフォーク・ロックで、これ見よがしなところが一切ありません。作者の情熱とか創意工夫が良い意味で全く感じられない楽曲なのです。
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絶対に歌い上げない有吉のおかげで紅白でも…
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