
なぜ、子どもたちを支援するのか。
「もともと、小学生時代のボーイスカウトであったり、自分より年下の子たちの面倒をよく見ていた」と振り返る326さんは、次のように話します。
「当時の経験もあったからか、子どもたちが傷つくのを見ていられなくて。子どもが犯罪に巻き込まれたニュースを見るだけでも悲しくなる感覚も昔からあったし、はっきりした理由はなくとも、その思いの延長線上で活動に取り組んでいます」
国立研究開発法人国立がん研究センター「がん情報サービス」の「小児がんの患者数(がん統計)」によると、対象となる国内の0~14歳の子どものうち、年間で「小児がん」と診断されるのは2000~2300人。種類は「白血病」「脳腫瘍」「リンパ腫」など多様で、0~14歳の子どもの死因として「全体では約10%」を占めるほどだといいます。
しかし、グリーフケアを通して難病で苦しむ子どもたちやわが子を亡くした遺族。さらに、専門医たちとも深く関わる326さんは「日本の小児がん対策は遅れている」と指摘します。
「僕は医療関係者ではないので、専門的な知識はありません。ただ、これまで多くの子どもたちや遺族の方々、専門医の方々からお話を聞いてきました。自分でも勉強して分かったことで、日本では、将来の日本を背負って立つ子どもたちの『小児がん対策』にあてられる予算が、約2%しかないんです(※)。
高齢者の人口が多いので『仕方ない』という声も分かりますが、子どもが自分でお金を稼ぐのは難しいし、子どもたちを守るのは『大人でしょ』と僕は思うから。 “2000人しかいない”と捉えず、もっと関心を向けてほしいです。NPO法人 日本小児がん研究グループへの寄付はインターネットからもできます。今回のような記事をきっかけに支援の輪が少しでも広がってくれたらと思っています」
小児がんによりわが子を亡くした遺族は、ときに「まだ引きずっているの?」と心ない言葉を浴びせられることもあると言います。
支援活動を通して悲しみに寄り添う326さんは「遺族の方々に温かい言葉をかける人たち」が増えることや、治らない病気が減る事で、ライフワークの一つである“天使ちゃん”のイラストを描かなくてもよい未来が来てほしいと願っています。
「これは僕の天職かもしれませんが……その仕事は無くなるほうがいいんです。僕が何もすることがない未来。それこそが僕の理想の未来です」
※この記事は女子SPA!とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
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※厚生労働省発表「令和5年度がん対策予算額の概要」内「がん医療」の項目では「186億円(182億円)」の予算のうち「小児がん拠点病院機能強化事業(がん診療連携拠点病院機能強化事業費)」は3.2億円、「小児がん中央機関機能強化事業(がん診療連携拠点病院機能強化事業費)」は0.6億円
<取材・文/カネコシュウヘイ 撮影/星亘>