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オリンピック出場の女性アスリートが卵子凍結を公表したワケ「勘違いされることも」

 フィギュアスケートで2022年北京五輪に出場したフィギュアスケート・アイスダンス選手の小松原美里さん(31歳・倉敷FSC所属)が2023年7月、卵子凍結の手術を受けたことを公表しました。
小松原美里さん

小松原美里さん

 卵子凍結とは、卵巣から採取した卵子を将来の妊娠のために凍結保存すること。生殖能力が活発な年齢のうちに卵子を保存しておくことで、今はまだ出産が難しい状況にある場合でも将来の妊娠に備えられると、近年大きな注目が集まっています。 「卵子凍結は自分への投資だと思っています」と語る小松原さんに、卵子凍結をするに至った道のりと、手術を終えた現在の思いを聞きました。

卵子凍結という選択肢を知り「心から嬉しくなった」

小松原美里さん 公私にわたるパートナーの尊さんとともにアイスダンスの世界で活躍する小松原さん。  現役アスリートとして競技を続けながら、出産や子育てといった人生設計をする上で悩みも多かったと言います。そんななか、新たな選択肢を提示してくれたのが「卵子凍結」でした。 「自分のライフプランについて考える時間が増える年齢にもなってきたのですが、競技を続けていきたいという強い思いもありました。でも、現役でアスリートをしながら出産というのもなかなかハードルが高いので、『この先どうすればいいんだろう』と悩んでいて。  ちょうどそのタイミングで出会ったのが、スノーボードの竹内智香選手が卵子凍結を行ったという記事でした。それを読んで『こんな選択肢があるんだ!』と、心から嬉しくなったのを覚えています」(以下、小松原さん)

卵子凍結を公表しようと思った理由

小松原美里さん 今はまだ一般的に認知されているとは言い難い「卵子凍結」。尊さんをはじめ、周囲からはどのような反応があったのでしょうか。 「みんな最初は『卵子凍結? それって何?』という様子で、存在そのものを知らないという人がほとんどでした。  卵子凍結についてまったく知らないところからスタートしたのは私も同じだったので、まずは一緒に資料を見ながら少しずつ知っていくところから始まり、だんだんと理解してもらったという流れでした」  卵子凍結を決断してから、手術の準備を進めていることを自身のSNS上で公表した小松原さん。その背景には、卵子凍結をはじめ女性の身体に関する情報について、正しい情報を知ってもらいたいという強い思いがあったといいます。 「私自身、卵子凍結の準備をするうち、自分の身体について新しい知識を得ることが多かったんです。たとえば卵子のもとになる細胞は、生まれたときにはすでに一生分の数が決まっているということだったり、その数は病院に行けば検査で分かるということ。そういった情報があれば、『今、自分にできることはなんだろう』と具体的に考えられるのではないかと思います。  AMH検査(卵巣の中に卵子がどれくらい残っているかを調べるための検査)の結果を知ったときに、自分のAMH値が比較的低いことが分かり、『あと数年後だったら、卵子凍結をするのが難しくなっていた』と言われて、今やっておいて本当に良かったなと思いました」
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卵子凍結のプロセスは
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