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福岡出身の俳優2人に共通する“色っぽさ”。地元の地域創生プロジェクトも手がける

恐ろしく映る横顔

 宮崎に到着し、安藤サクラが運転する車で助手席に座る横顔もいい。すこし年をとった妻夫木君、目尻にシワが刻まれ、味わい深い横顔になったものだなぁ。なんて、感慨深く思うのは、経年によってより九州男児感が強まるホリの深さからだ。  本作で描かれる事件の鍵を握る人物である柄本明に面会する場面がすごい。拘置所の仕切りをはさんで柄本にしつこく捲し立てられ、激しい怒りをあらわにする。  白い歯をむき出しにする妻夫木の横顔が恐ろしく映ると画面がさっと暗くなり、後ろの方で雨がふりはじめる。  寒気がするような本作最大の見せ場だ。柄本明の高笑いはぞっとするけれど、妻夫木の横顔の演技も負けてはいなかった。ここで横顔つながりの比較をするなら、同じ福岡県生まれの俳優・瀬戸康史もものすごい破壊力を秘めている。

瀬戸康史の麻薬的な魅力

恋に落ちたおひとりさま

© 東映

 破壊力と言っても、瀬戸の場合は、もっと柔らかく、包み隠されているような印象がある。妻夫木に比べて明らかな九州男児臭はない。“リアル王子様俳優”なのだからそりゃそうだ。 『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』(2022年、Amazon Prime Video)で波留演じる岡部聡子が図書館で目を奪われるのが、小説家である鈴木涼介(瀬戸康史)の横顔だった。  聡子がときめく気持ちを表現するキラキラ映像の中で、瀬戸が発散する薄桃色の香り。一度吸えば即、夢見心地の強力さを誇る。 (決して危ないものではないけれど……)瀬戸康史の麻薬的な魅力を解明する必要がある。17歳で上京するまで福岡で人格を形成した瀬戸は、実は妻夫木以上に九州男児なのだ。彼のルーツを探ってみたい。
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ささやかな九州の香り
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