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なんで猿だけ?モンチッチの誕生、社会現象から終焉までを担当者に聞いた

モンチッチの顔のアップ写真モンチッチといえば、世代を問わず誰もが知っているキャラクター。 「前髪を切りすぎた」ときに例えとして名前が出ることもあるが、モンチッチの容姿以外のアイデンティティ的な部分はあまり知られていない。 今回はモンチッチを製造・販売する株式会社セキグチの商品本部 マーケティング部 シニアマネージャー 幡野友紀さんに話を聞いた。 【画像をすべて見る】⇒50周年を迎えるモンチッチ

当時珍しかった「体はぬいぐるみ、顔と手足はソフビ」の理由

商品本部 マーケティング部 シニアマネージャー 幡野友紀さん

株式会社セキグチ 商品本部 マーケティング部 シニアマネージャー 幡野友紀さん

株式会社セキグチは1918年に創業後、ふのり製造を行っていた。その後セルロイドの人形(発火の恐れがあることが指摘された以降はソフトビニール製に変更)の加工業も行うようになり、「日本だけじゃなくて世界に向けた人形作りをしよう」と動き始める。 「しかし、ヒト型の人形だとどうしても国ごとに支持されるビジュアルが変わってくることから動物をモチーフにしたものを作ろうとなったのです」 そこで、いくつかの動物モチーフのぬいぐるみが作られた。体部分は布製のぬいぐるみ、顔と手足部分はソフトビニールを活用したもので、これは当時かなり珍しかったという。

数多いる動物の中から、なぜ猿?

「すべて布製のぬいぐるみというのは型紙を起こすのも難しく、高い技術が必要とされます。しかし弊社はセルロイド・ソフトビニール製の人形をずっとやっていた会社なので、その得意な技術を活かしてみてはどうかという案が浮上したのです。ソフトビニール製なら顔の細かな表情も印刷で再現できます。その上で、ぬいぐるみのくたくたっとした感じを出すために身体部分は布製にしました」
「くたくたモンキー」とモンチッチ

「くたくたモンキー」とモンチッチ

何種類かの動物のぬいぐるみがあった「くたくたシリーズ」の中でも特に人気があったのが、猿の「くたくたモンキー」だった。
マドモアゼルジェジェ

マドモアゼルジェジェ

さらに人気を高めるべく、この「くたくたモンキー」に同じくセキグチで製造していたおしゃぶりをする人形「マドモアゼルジェジェ」の要素を加えて誕生したのが「モンチッチ」だった。 「当時の1970年代は働く女性が増えてきた頃。子どもが保育園や託児所でお母さんに会いたくて指をしゃぶっている姿が多く見られたそうです。そうしたその世の中の動きを反映させたこともあり、モンチッチは大ヒット商品となりました」 発売当初、定番サイズのモンチッチの価格は1,000円。当時の大卒初任給が78,700円だったことを考えると、現在の物価では3,000円くらいの価格になるが、それでも売り場にモンチッチが入荷した瞬間すべてなくなるほどの争奪戦だったという。
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爆発的ブームは10年で終了
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