
『静かなるドン』※合同会社DMM.comプレスリリースより
先代の総長が新興勢力に暗殺されたことを発端に、跡目候補に浮上したのが伊藤演じる息子の近藤静也。
デザイン会社に勤務する静也はヤクザとは無縁のごく普通の社会人として働いていた。そこへ突然のしかかって来る跡目襲名の重積と宿命。
母親の近藤妙(筒井真理子)に呼び出される場面が素晴らしい。ヤクザの女として凄みを利かせる妙に対して、静也は「僕はただの堅気です」といかにも冷静に応える。目の前をまっすぐ見つめ、微動だにしない。伊藤の透き通る演技に驚いた。
ああ、これこそ伊藤健太郎の真骨頂なのだ。これを見るために彼の復帰を待ち望んだ。見る者にそう強く思わせ、納得させる。大きな借りは名演で返す。実人生での深い苦しみの日々がこうして昇華される。
結局、跡目を継いだ静也が一転、いかにもな真っ白なスーツにポマード頭の若親分になる姿は彼の才能が化けた瞬間だ。
よかった。ほんとうに。もはや無双状態。こうなれば、向かう所敵なし。伊藤健太郎は、もうつまづくことはない。
いや、たとえ再びつまづくことがあっても、一生付いていきたい、その演技をずっと見ていたいと思わせてくれる俳優になったのだ。
<文/加賀谷健>
加賀谷健
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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