「膣トレすれば?」「きみは1円も稼いでないんだから」モラハラ夫が怖すぎて叫んでしまいそうに/『くすぶり女とすん止め女』
自分だけの「論理」で人を動かそうとするモラハラ夫「妻は夫の所有物なんだよ」
夫からお金が送られてきて、実家にいられなくなった郁子は子どもふたりを連れて家に戻る。そうするしかなかった。 戻った郁子は予想通り、さらにひどいモラハラにあう。謝る妻に、夫は「家事放棄、子育て放棄、高くつく当日購入の飛行機代、おかあさんへの迷惑料。それ全部ひっくるめた謝罪になってますかって言ってんだよ」と迫る。 モラハラ夫は、自分だけの「論理」で人を動かそうとする。それが妻に、「夫は論理的で弁が立つから、何を言っても無駄だ」と思わせるのだ。夫が論理的なのは、モラハラ夫という立場での彼自身の論理にすぎない。世間の論理、さらに言えば人権に従っての論理とはかけはなれている。 夫は決定的な言葉を放つ。 「妻は夫の所有物なんだよ」 そんな郁子に一筋の、だが大きな光が射してくる。実家にいるとき1日だけのアルバイトをし、大きなハプニングがあったのだが、それを見ていた東京のPR会社の八田から「わが社で働きませんか」と誘いがくるのだ。
家庭で評価されていない女性が自分を見つめ直す一歩に
専業主婦しかしていないから無理だと断る郁子に、八田は専業主婦がいかにマルチタスクを果たしているか、表を見せながら口説(くど)く。「あなたは優秀な人です」と言われて、四半世紀、くすぶってきた郁子の心が激変する。 主婦の仕事は誰にも評価されない。完璧で当たり前。モラハラ夫なら、さらにそれ以上を求めてくる。こなせなければマイナス評価。 だが、そんな女性も一歩外にでれば、マルチタスクをこなすことのできる「優秀な女性」なのだ。そこに本人が気づけるかどうか。 程度の差こそあれ、家庭で評価されていない女性は多いはず。働きに出ればいいということではなく、「誰かに認められれば人は変われる」「その“誰か”は自分でもいいはず」と自分の生活を見つめ直す一歩に、このドラマはなりそうだ。 そして「すん止め女」とは? これは第2話以降のお楽しみである。 <文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
1
2


