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「事故当日、市長からは“大丈夫ですか”の一言も無かった」楽器ずぶぬれ被害から1年、楽団が明かす裾野市への不信感

裾野市の代理人弁護士の回答

 編集部は裾野市の代理人で裾野市事故調査委員会の事務局も兼務した御宿哲也弁護士に対しメール取材を行った。その回答をここで紹介する(原文ママ)。 ――シンフォニエッタ静岡のウェブサイトには「2022年10月下旬、裾野市は指定管理者に『オーケストラと直接連絡を取るな』『公演料は支払うな』といった指示をした」とあります。これは事実でしょうか? 市代理人:事実誤認と捉えております。『オーケストラと直接連絡を取るな』に関しては、市職員がそのような発言をしたこと等はございません。なお、情報が錯そうすることを回避するため、市及び指定管理者からシンフォニエッタ静岡様への連絡窓口は、市の代理人弁護士に集約することとしております。『公演料は支払うな』に関しては、公演料の支払いを行わないように指示したこと等はございません。(編集部注1) ――裾野市事故調査委員会は、事故当日の状況を知っている楽団側になぜ聞き取りをしないのでしょうか。 市代理人:当市は事故調査委員会の調査に関与しておらず、調査方法等に関して見解を述べる立場にはございませんが、事故調査委員会からは「委員会の目的は、スプリンクラーの設備に関して、人為的操作以外の原因で放水する可能性があるか否かを検証することにあるため、市・指定管理者・シンフォニエッタ静岡への聞き取りを行う必要は無いと判断した」と聞いております。 なお、客観的な立場で調査を行う観点から、当市は事故調査委員会による調査に一切関与しておらず、調査方法等の一切は事故調査委員会において判断されています。当市から調査方法等について事故調査委員会に対し意見を述べたことはございません。 ――裾野市事故調査委員会はなぜ事故の当事者であるニッセー防災、日本ドライケミカルに調査の実務を担わせたのでしょうか。またその一方で、なぜ楽団側を調査に関与させないのでしょうか。 市代理人:前段については、前問と同様、当市は調査方法等に関して見解を述べる立場にはございませんが、事故調査委員会からは「必要な調査を行うため、補助者として、設備を熟知している従前の点検業者を使用した」「ニッセー防災及び日本ドライケミカルはあくまで補助者であり、調査結果に関する判断は事故調査委員会の委員が行った」と聞いております。後段については、前問のとおりです。(編集部注2) ――裾野市事故調査委員会が行った漏水量調査結果とキッツが行った漏水量調査結果に大きな違いがあったにもかかわらず、調査をやり直さなかったのはなぜですか。 市代理人:前問と同様、当市は調査方法等に関して見解を述べる立場にはございませんが、事故調査委員会は現場での漏水調査結果とバルブメーカーによる調査結果をふまえて「事故原因は特定できない」という最終結論に至っていると認識しております。(なお、バルブメーカーによる調査を行うには、バルブを分解する必要があり、同様の調査を再度行うことは難しいとも聞いております。) ――楽団側が行った調査ではキッツに近い漏水量調査結果を得ていますが、裾野市事故調査委員会においてそれを一切考慮しないのはなぜですか。 市代理人:前問と同様、事故調査委員会は市から独立した立場で調査を行っておりますので、事故調査委員会がシンフォニエッタ静岡様の調査結果を考慮しない理由については、当市からはお答えしかねます。(なお、事故調査委員会は最終報告書の公表をもって解散しております。) また、当市としましては、事故調査委員会は客観的な立場から調査を行い、2023年6月27日付けで既に最終報告書を公表しておりますので、別途調査等を依頼することは考えておりません。 なお、「楽団側が行った調査ではキッツに近い漏水量調査結果が出ています」の指すところが明らかではありませんが、仮に2023年7月28日付けの「シンフォニエッタ静岡 事故被害検討委員会 中間報告」を指すとすれば、当該時点では既に事故調査委員会は調査を終了し最終報告書を公表した後だったことを申し添えます。(編集部注3) ――裾野市事故調査委員会にて事故原因が特定できていないなかでの再発防止は可能なのでしょうか。また、具体的にどんな再発防止策を講じていくつもりかご教示ください。 市代理人:現在、ホールの再開に向けた修繕方針を検討しておりますので、現時点ではお答えしかねます。 ==========  編集部注1~3についてシンフォニエッタ静岡に確認をしたところ、下記の回答があった(原文ママ) (注1)裾野市代理人の御宿弁護士は2022年12月、シンフォニエッタ静岡との面談において「楽団と指定管理者だけで話すことなく市も仲間に入れて欲しいという意味で言った」と述べている。支払いについては回答しなかった。しかし指定管理者の役員や職員は、市から指示があったと複数回述べており、市にはキャンセル料を支払うと報告していることからも市の指示があったことが明らかである。 (注2)裾野市事故調査委員会の最終報告を確認する限り、調査の提案・実施・報告・見解まとめのすべてをニッセー防災と日本ドライケミカルが行っている。事故調査委員会の議事録において委員の意見はほとんど見られず、最終報告に掲載されている内容は、ニッセー防災と日本ドライケミカルがまとめた報告書の内容と同様である。 (注3)2023年2月22日に楽団の委員会が行った調査には、裾野市職員9名以上とニッセー防災役員1名、日本ドライケミカル3名、指定管理者5名が立ち会い、裾野市職員は調査のすべてを動画撮影した。その調査結果、数値については、楽団の委員会からニッセー防災、日本ドライケミカルに確認をさせ、2023年3月13日付(ニッセー防災、日本ドライケミカルが行った市事故調査委員会の漏水量調査実施日よりも前)で確認の署名を得ている。 <取材・文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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