すでにベテランの域にある栗山千明がものすごく男前に映り、妹からも周囲からも煙たがられる一匹狼キャラを好演している。相手役の柳俊太郎は、いかにもアンニュイな空気感でやるせない。
栗山のかっこよさと柳のやるせさなが、ほんとうに絶妙なバランスでコントラストをなしている。徐々に姉と夫の関係に気づき、居心地が悪い思いをするらんを演じる馬場ふみかの無垢ゆえのずるさもいい。
3人の俳優がうまく掛け合いを演じながら、不倫空間をどんどん盛り上げる。芸達者な芝居が集約し、不倫の行く末を見守る過程で、視聴者が飽きることはほとんどない。
ドラマタイトルからイメージされるように、じゅんがぷかぷか吸う煙草が、とにかく画になる。家の縁側や帰り道の河川敷などで一服する。そこへ律も同じ喫煙者同士で脱力して煙草を吸う。
柳のニヒルな吸いっぷりもなかなかのもの。喫煙に対する規制が強まる昨今、むしろそれを逆手に取って、肩よせ合う喫煙者同士ならではの絆みたいなものを描く。
第1話のラスト、家で煙草を吸うことを嫌うらんに隠れて、じゅんと律が縁側で煙草を吸う(水色の灰皿がいい)。
ライターがつかないじゅんに対して、律が自分の煙草の先をつけて火を分ける。何と古風な火のつけ方だろう。喫煙者なら一度は憧れる仕草に、思わずドキリとしてしまった。