
亀梨和也さんが、連続殺人鬼に追われる“サイコパス”弁護士の主人公・二宮彰を演じる、超刺激サスペンス『怪物の木こり』が公開中です。
メガホンを取ったのは、バイオレンスの巨匠として世界中にファンを持つ三池崇史監督。二宮の協力者で、こちらも“サイコパス”の脳外科医・杉谷を演じた染谷将太さんと、監督のおふたりにインタビュー。亀梨さんの印象などを聞きました。
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――三池監督と染谷さんは、もう幾度も組まれています(『悪の教典』『初恋』ほか)。監督から見た染谷さんの俳優としての魅力を教えてください。
三池崇史監督(以下、三池監督)「こういう人が役者になるんだなと感じさせる人というのは、やっぱりいるんです。こういう人がいるから役者が生まれるというか。そうした能力を持っている人は見ること、撮ることに喜びを与えてくれる。特別な存在です。撮っていて、面白いし、楽しいし、刺激的です。
自分の作品での染谷くんは、体温の高くない役が多くて、一番激しい時で、拷問の痛みに耐える程度なんですけど(笑)。でも何かが起きるんじゃないかと思わせる存在感がある。逆に言うと、“何も起こらないまま頭が爆発して死ぬ”とかやりたくなる、無駄遣い感が快感になる男です」
染谷将太さん(以下、染谷)「嬉しいです(笑)。自分も、“いかにもこいつが生き残りそう”とか、ドヤ顔で一番できるみたいにかっこつけてクールな雰囲気出して出て来て、一瞬で死ぬ役とか、すごく快感です(笑)」
――(笑)。本作は、猟奇的な連続殺人犯の次のターゲット・二宮(亀梨)が、殺人も厭わないサイコパスだったというユニークな設定の物語です。そして染谷さんが演じた二宮の協力者・杉谷もサイコパス。
染谷「今回は、自分としては直接的な暴力シーンはあんまりなかったんです。でも、見せていないからこそ“きっとこの人はヤバいんだろうな”というのを、想像させられたら面白いなと思ってました。あと、監督もステレオタイプのサイコパスにはしたくないとおっしゃっていたので、悪い人を演じようとは思わず、とにかくピュアな、自分が映画を好きなのと変わらないくらいの気持ちで、“そういうこと”が好きな人として演じました」
サイコパスを見て共感できる瞬間があるのは、亀梨和也だから
――亀梨和也さんとお仕事された印象をお聞かせください。
三池監督「これまでに菜々緒さんともお仕事されてきているわけですけど、こういう企画でもない限り、自分とは住む世界が違う方かなと思っていました。僕なんかからすると、夜のスポーツ番組で、いろんなことにチャレンジされていてすごいなとか。こちらからすると見慣れた存在ですし、お会いしても全くズレがなくて、そのままの印象でしたよ。とても真面目な人です」
――監督として、俳優・亀梨和也はどのように映りましたか?
三池監督「アイドルという面も持っていますからね。特にこの『怪物の木こり』の二宮のようなキャラクターは、同じ脚本を読んでも、自分で“亀梨和也”という存在を作り上げてきた亀梨さんと僕とでは、二宮に対する感覚のズレが微妙にあるだろうと。そこを期待していましたし。割とすんなり二宮に共鳴というか共感してくれたように思います。ただ、どうしても表現者としては、役を表に表現したくなるわけです。それが仕事ですから。でもそれが発揮できない役なんですよね」
――サイコパスですからね。
三池監督「そうなんです。少なくとも観る人に共感してもらえる役ではない。普段と違って愛される存在でもない。でも、映画の最後に少しの救いがあるんですよね。この映画は。サイコパスを見て、少し奇妙ではあるけれど、感情がギュッと共感できる瞬間がある。そこは彼の存在が大きいんじゃないでしょうか。亀梨和也として生きていくって、やっぱり大変なことだと思うんですよ。そうした苦しみとか迷いといったものが、演技ではなく、さりげなく、にじみ出ていたんじゃないかと思います」