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松本人志に坂本龍一さんが生前投げかけていた疑問。90年代にはCDプロデュースしたが/2023人気記事top5

坂本氏は「僕らの世代」が親になり教師になった結果だと指摘

 ここでの坂本氏は明らかにダウンタウン的なものに対して批判的ですが、同時にそれが突然あらわれたのではないことも指摘しています。 <権威に反発して、ルールがないことはいいことだと戦後最初に言ってたのは、僕らの世代なんだよね。いわゆる全共闘世代。いま僕らの世代が親になり、教師になって、そういう子どもを育ててしまってる。>(p.120)
 坂本氏はダウンタウンそのものを批判しているのではなく、彼らが生み出されるに至った歴史の過程に、日本の問題点を見ているのです。  善悪や道徳、倫理の問題など自分で考えなければならない本質的な問題に取り組まず、受験対策に代表されるような明確な解答のみを要求する教育の果てに広がる精神の荒廃(こうはい)。  教員による学校教育だけでは不十分だとして、現状をこう分析する。 <やっぱり、親なんだよ。教えられるのは親であり、地域のコミュニティーであり、社会だもん、それが機能していないってことだよね。>(p.84)

本来ならアウトサイダーとして輝くはずだったダウンタウンが主流に

 本来ならばアウトサイダーとして輝くはずだったダウンタウンがメインストリームに躍(おど)り出てしまった社会の歪(ひず)み。  一連の発言から読み取れることは、焦(あせ)りにも似た危機感なのではないでしょうか。  だから、これを単に“ダウンタウン批判”とゴシップ的に扱うのはとてももったいないことです。  時代の空気や環境によっていとも簡単に左右されてしまう人々の振る舞い。現在に通じる警鐘として改めて考えたくなる指摘でした。 <文/石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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