
『下剋上球児』公式サイトより
1999年に東洋紡の水着キャンペーンガールとしてデビューした井川は、いわゆる“美人”女優としていまだに語られることが多い。でも筆者は彼女を単に美人だなんて形容することに違和感を持っている。
上手い表現ではないが、神秘的なイケメンとでも言えばいいだろうか。そして今、美しい見た目と関係なく演技の評価が高まっているのは、時代の価値観がやっと追いついたからだ。
鈴木亮平主演の日曜劇場『下剋上球児』での姉さん的な妻役が、視聴者だけでなく識者筋からも好評を得ている。井川が体現する自立した女性像が、時代に問いかけるものとはなんだろうか?
『下剋上球児』は、三重県立越山高校野球部が甲子園に出場するまでの物語を描いた骨太なストーリー。2018年に三重県立白山高校が甲子園初出場を果たすまでの足跡を綴った同名のノンフィクションを原案としている。
弱小だった野球部を強豪へと必死に育て上げるのが、地理歴史担当の社会科教師・南雲脩司(鈴木亮平)だ。
夫に対して家庭との両立を望むのが、井川扮する妻の美香。第1話では野球部監督就任を渋る脩司に対して「やるならやる、断るなら断るで」と三重弁ではつらつと促す。
東京の職場へ復帰する第4話では、四苦八苦しながらも何とかやり切る姿が印象的だ。実は教員免許を持っていなかった脩司が苦境に立たされると、結果的に妻としてしっかり支える。
東京から三重に戻り、リモートワークでバリバリ働くと意気込んだりもする。今の時代に合った自立した女性の姿に視聴者からの共感は集まったのだ。