――他にも、危うい投稿はありますか?
芙和「これは教育虐待になるのでは? と思う子育てアカウントもよく目にします。子どもが嫌がっているのに『うちはこんな勉強法をしています!』と
無理やり勉強をさせているものです。
“天才児の育て方”や“東大に合格する勉強法”といったメソッドを実際に子どもにやらせてみるというものなのですが、『泣いているけどがんばる!』と、泣く子に強要している動画もありました」

――高学歴の子どもを育てた母親・父親の教育方法をメソッドにして、それを実践しているアカウントはよく見かけます。
芙和「嫌がる子どもに強要して、それを投稿するのは、子どもの自己決定権を考えていないやり方です。
子どもと親は別人格であるという考えが欠けてしまっています。動画を作っている人は「良いこと」「自慢できること」と信じているのだと思いますが……。
天才児に育てたいのも東大に入れさせたいのも親の希望、一方的な価値観です。もちろんお子さんも一緒に、前向きに勉強ができるのなら問題はありません。でもそうではなく泣いて嫌がる子に無理やり押し付け、ましてその様子を動画に撮影して公開するのは、いかがなものかと思います」
――勉強以外には、予防接種を受けて泣いている子どもなど『泣く子ども』の様子を投稿した動画はよく見ます。

芙和「『予防接種に行って、泣きました』ということを文章だけで投稿するのはわかります。痛いけど頑張ったねと思う気持ち、終わってホッとする気持ちもありますよね。でも、そこに泣いている子どもの動画や写真を入れる必要はないですよね。
泣いているということは、子どもが痛い思い、辛い思いをしているということです。
写真や動画を撮影するより、子どもの気持ちを受け止め、安心させてあげることの方が大切なのではないでしょうか。考えるより先に、『大丈夫だよ』と、子どもの気持ちを落ち着かせるのに必死になる人がほとんどのはず。そんな場面で、泣いている子にスマホを向けるというのは、どういう感覚なんでしょうか。
それに子どもだって、自分の『泣く』という感情をもてあそばれていると知ったら、傷つくのではないかと思います」