
特殊清掃現場のようす ※ブルークリーン プレスリリースより
異臭や死臭のただよう環境で、清掃作業に関わる武田さん。現場では心ない言葉をかけられることもあるそうです。
「ゴミ屋敷状態だったアパートの一室で作業していて、隣の部屋に住む方から『こんな仕事でお金もらってるとはねぇ……』と、嫌味を言われたこともあります。ただ、ゴミ屋敷からのニオイでよほどのストレスを抱えていたのは分かりますし、みんなが嫌がることだからこそ『やるよ』と思ったし、そんなに気にならなかったです」
過酷な環境下で正直、きつさを感じることはあったかも伺いました。
「独特なニオイは文字や動画では伝わりませんし、孤独死された方の頭髪がそのまま部屋に残っているなど、伝えづらい状況もあります。ただこれまで、きついと思ったことはありません。片付けたいと思っても片付けられなかった部屋が、自分たちの力でスッキリして、喜んでいただけるのがむしろうれしいです」

介護職の20代女性のゴミ屋敷化した部屋。清掃前の様子(提供:ブルークリーン)
清掃作業で、女性だからこそ「同性に相談したい」という声もあるといいます。
「女性から『同性スタッフの方にお願いしたいです』と頼まれることもあります。ちらばった下着や使用済み生理用品などを『男性にふれてほしくない』と思うのは自然なことですよね。家族や友達には頼みづらいことですし、他人だからこそ相談しやすいのかなと思います」
友人からは「お化けは出るの?」など、特殊清掃ならではの質問をぶつけられることもあるそう。周囲の後押しもある現職での将来像も聞きました。
「現場で清掃ノウハウを教えているフランチャイズ加盟店のオーナーさんが、やりがい持って仕事に臨めるよう、一緒に頑張る気持ちでサポートしたいのが一番です。一般廃棄物と産業廃棄物の違いなど、清掃業における基礎知識も広めていきたいです」
営業職から清掃業へと転職した武田さんは、過去の経験も糧に、キャリアを重ねています。インタビュー中、微笑むその表情からは現在の仕事に対する矜持、意欲もひしひしと伝わってきました。
<取材・文/カネコシュウヘイ>