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山﨑賢人が背負う“実写化俳優”としての宿命。少女マンガ原作モノから肉体改造を経て

 なんてったってアイドル……。ならぬ、なんてったって実写化俳優(!)。実写化作品なら、俺に任せとけ。というか、やっぱり俺しかいないだろ?
映画「ゴールデンカムイ」

©野田サトル/集英社 ©2024 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

 2024年1月19日から公開されている映画『ゴールデンカムイ』の山﨑賢人からは、そんな宣言と再確認が聞こえてくる。 「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、本作で“第2期実写化時代”を告げる山﨑賢人を解説する。

「あれだけ殺した」俳優

映画「ゴールデンカムイ」「戦争に行って何か変わっちまったのか。あれだけ殺したんだ。俺の地獄行きは決まってる」 『ゴールデンカムイ』の主人公・杉元佐一役の山﨑賢人にとって、この台詞は決定的だと思う。  すくなくともデビューから彼にずっと熱い眼差しを送り続けてきた筆者にとっては、彼の俳優生活の月日がこの台詞を発するためのものだったのではないかとさえ。  いったい、何がそこまで決定的だったか。まず確認すべきは、近年の俳優の演技として、作品内で「あれだけ殺した」のは、山﨑がダントツであるだろうということ。  本作の兄弟作品的な実写映画『キングダム』(2019年)では、大将軍を目指す主人公・信(山﨑賢人)が、戦地で敵を斬りまくった。殺陣に応じた敵の撃破数を同作で相当数稼いだわけだが、歴戦を制した戦士俳優・山﨑賢人とは……。

「きらきら映画」の金字塔

 三木孝浩監督作『管制塔』(2011年)は、無垢ながら他にはない原石のような輝きで、デビュー一回限りの名演を刻んだ。キャリアを決定づけたのは、言わずもがな、漫画作品を実写化した映画作品の数々。  曽利文彦監督による『ピンポン』(2002年)から実写化の機運は高まり、空前の実写化ラッシュが到来するのが、2010年代。  松坂桃李主演の『今日、恋をはじめます』(2012年)ではまだ助演級だった山﨑が、剛力彩芽との『L・DK』(2014年)を皮切りに、あれよあれよと少女漫画を原作とする、いわゆる「きらきら映画」の申し子となる。 “実写化王子”の異名が何よりの証拠だ。2016年の『オオカミ少女と黒王子』は、その異名の集大成を飾る記念碑だったばかりか、廣木隆一監督作としての完成度の高さは、きらきら映画の金字塔に他ならなかった。
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実写化王子のプライド
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