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山﨑賢人が背負う“実写化俳優”としての宿命。少女マンガ原作モノから肉体改造を経て

実写化王子のプライド

『オオカミ少女と黒王子』

『オオカミ少女と黒王子』DVD(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

『オオカミ少女と黒王子』を頂点として、次第にきらきら映画ブームは下火となり、10億円を超える(まさにきらきらな)興行成績も徐々に振るわなくなった。山﨑の名演を振り返っても、同作のドS王子役を更新する名演は生むのは難しいというのが、筆者の見立てである。  実写化ラッシュの残り香が、まだわずかに感じられた2010年代後半もまるで自らに課せられた責務のように山﨑は、漫画内の2次元キャラクターを次々と3次元にアダプテーションし続けた。  彼の継続的な姿勢がどれほどたくましかったことか。荒木飛呂彦の国民的漫画作品を実写化した『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017年)でも彼は、実写化王子としてのプライドをなんとか保っていた。

“第2期実写化時代”の幕開け

 思い返すほどに、涙ぐましい努力と日本映画の未来は自分が背負っていかねばという強い責任感があったことに思いあたる。あぁ、賢人君、そんなに背負わなくてもいいんだよ。  あなたはあなたでいるだけ、存在しているだけで尊く、稀有な才能なのだから。そんなことを思いながら、時代が2020年代に突入する前夜、さすがに実写化の仕事はやらないよなと思っていたところ、『キングダム』が公開された。このタイミングには、たまげたものだ。  もちろん嬉しいけど、ほんと無理は禁物。なんて期待と心配が半々の杞憂を吹っ飛ばすリアルな戦士感。なるほど、これは山﨑賢人の“第2期実写化時代”の幕開けを告げ、次なるキャリアの2020年代へ向けて自ら押し上げた。
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実写化俳優の宿命を物語る
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