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賛否両論の日曜劇場、西島秀俊が体現した”リアリティ“よりも大切なコト

 何だか最近、クラシック音楽を題材にしたテレビドラマ作品が多くはないか。ただし、このジャンルの扱い方は要注意であることを忘れるなかれ!
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』公式サイトより

日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』公式サイトより

 というわけで、毎週日曜日よる9時から放送されている『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)をどう見るか。日曜劇場がクラシックとは珍しいが、やっぱり注目は西島秀俊扮するマエストロだ。 「イケメンとクラシック音楽」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、本作がまさかの『のだめカンタービレ』以上だと思う理由を解説する。

不可能を可能にするリカバリー力

 音楽を題材にした作品でもクラシック音楽ドラマは、特に細心の注意が必要になる。ポップスに比べ、何百年単位の歴史に裏打ちされた伝統やルール、制約がかなり厳格だからである。  まず第一に、俳優にとっての負担があまりにも大きい。例えば、ピアノやヴァイオリンなどの楽器奏者を演じる場合、幼少から楽器用に訓練された身体を、演奏経験がない俳優が限られた役作り期間でカバーするのは不可能に近い。  これはクラシック音楽を専門にする音楽事務所にいる筆者が、実際にさまざまな作品の現場で感じてきたことでもある。  でもときに、そんな不可能を可能にしてしまうような才能の俳優が、驚異のリカバリーで演技をこなしてしまうことがある。『さよならマエストロ』の西島秀俊は、まさにそんな好例だ。

佇まいで一本勝負

のだめカンタービレ

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 俳優とは言わば、自分が経験したことがない人生や出来事をほんとうのように見せる仕事。その意味で彼らの想像力はとてつもなく豊かなものだが、要するに“見せ方”を知っている人たち。  ある大手CM撮影の現場で筆者が音楽監修をしたとき、ヴァイオリンをさわったこともない俳優がほんの1時間ほどの指導によって、プロ奏者と見紛う佇まいで画になっていて驚いたことがある。 『のだめカンタービレ』(フジテレビ、2006年)で天才的な音大生を演じた上野樹里(幼少期にピアノ経験がある)もきっとそんな奇跡を起こしたひとりだろう。あるいは上野の相手役だった玉木宏の指揮の見栄えも素晴らしかった。  楽器は得手不得手がすぐにバレてしまうけど、なるほど指揮ならまだ騙しがきくかもしれない。指揮者それぞれのコンダクティングのクセを見様見真似で習得し、あとは佇まいで一本勝負をかけたらなんとかなる。
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指揮者役の佇まいに必要なもの
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