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メディアに引っ張りだこの敏腕編集者の正体は“モラハラ夫”。新ドラマがえぐる人間の本質

 家庭内の不和は、外には見えづらい。子どものことを考えたらなおさら、つらいい現実を何とか隠そうとするのかもしれない。
『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』© テレビ東京

『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』© テレビ東京

 でも行き着くところまできてしまったとき、虐げられていた側は反撃に出る。毎週火曜日深夜12時30分から放送されている『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』(テレビ東京)は、世間体だけはいい最低夫に反旗を翻す妻の物語である。 「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、あまりにも無責任な最低夫の実像を読み解く。

略称ドラマはヒット率が高い

 略称がつくテレビドラマ作品は、だいたいがヒット作、ないしはヒットへ勢いづくとよく言われている。テレビ東京の深夜ドラマ枠は、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(2020年、通称『チェリまほ』)を筆頭に、意欲作をコンスタントに製作している。  2022年に新設された「ドラマチューズ!」枠で放送されている『夫を社会的に抹殺する5つの方法』は、馬場ふみかと野村周平出演作に続く、シーズン2作品。“オトサツ”の略称で親しまれている。親しむというには、タイトルと内容はかなりハードか。  夫を社会的に抹殺することをオトサツと略してしまうのだから、なかなか複雑な人間心理がたくみに反映されてもいる。  そう、本作は単に略称ドラマのヒット作の第2弾であるばかりではない。人間の本質をえぐる、粘り勝ちの社会派ドラマでもある。

栁俊太郎の持ち味

 高梨臨扮する主婦の日野美咲に抹殺される対象となるのが、夫の日野透(栁俊太郎)である。陰鬱さとアンニュイをうまい具合に漂わせる栁がかなりいい仕上がり。どうもこの人は、現代人の心の揺れやその不安定さを表現することが長けていると思う。  吉野北人主演の『トーキョー製麺所』(MBS・TBS、2021年)では、いい加減なうどん屋のバイトリーダーをそつなくこなしているなという印象くらいだった。そこから加速度的に、アンニュイな持ち味を活かして、ここ最近特に注目俳優に躍り出た。  同じテレ東作品『けむたい姉とずるい妹』(2023年)では、妻の姉と三角関係になる不倫夫をまさに煙に巻くような不安定さで演じていた(妻役が馬場ふみか!)。  同作では文学作品の編集者だったが、本作でも大ヒット漫画を仕掛ける敏腕編集者を演じている。編集者役が似合うとは興味深い。
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体育会系広告マンvs神経質な編集者
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