山梨で野菜を育てる32歳俳優が気づいた「農業と役者との共通点」過酷な北海道ロケで痛感したことは
俳優の佇まいには、とても不思議な力がある。例えば、2016年公開の映画『夏美のホタル』の工藤阿須加を観たとき、それを強く感じた。
2024年1月19日から全国公開されている映画『ゴールデンカムイ』でも、彼の佇まいが画面上でバチッとキマっている。野田サトルによる原作世界を冷酷に生きる軍人・月島基役を演じる上でどんなことを考えているのか。
「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、「農業も俳優も根本的には同じ」と語る本作の工藤阿須加さんに聞いた。
――工藤さんが演じる、第七師団軍曹の月島は、冷酷なキャラクターで、玉木宏さん演じる鶴見篤四郎中尉の忠実な部下という人物です。野田サトルさんの原作を読んだときの印象はどうでしたか?
工藤阿須加(以下、工藤):僕はもともと原作ファンで、連載当初から読んでいました。単行本も全部買っています。月島のキャラクターについては、途中からだんだん理解ができ、好きになりました。
なぜ鶴見中尉に絶対的な忠誠を誓い、冷酷な任務を遂行できるような人物になったのか。最初からそうではなかったはず。それまでのプロセスが僕にとっては重要です。
その背景を知ったとき、納得できてしまったんです。月島推しの方は、そういう部分に魅力を感じるのだと思います。
――月島の行動も恐ろしいですが、鶴見中尉はさらにぶっ飛んでいる。月島と鶴見は不思議な関係性だと思いました。
工藤:鶴見中尉との距離感を気をつけながら芝居していました。
――主演の山﨑賢人さんとの共演はどうでしたか?
工藤:今回、初めてご一緒させていただきました。山﨑さんはこれまでさまざまなアクションを経験されていますが、僕は本作のような激しいアクションの経験はありませんでした。
雪上の馬ゾリのアクションシーンは、山﨑さんにリードしていただきながら、お互いに確認し合い、いい呼吸で演じられたと思います。
山﨑さんはほんとうに愛される方。役者として素直に会話できる。そうした山﨑さんの魅力に現場では助けられました。座長としての立場を多く経験されてきたからだと思います。
――アクションシーンだけでなく、冒頭から雪景色が続き、俳優さんたちの白い息が印象的です。雪上ロケは大変でしたか?
工藤:大変でした!雪の中でのロケはとても寒く、吹雪のシーンでは、耳につららができるくらいでした(笑)。
でも、僕たちがスムーズに芝居できたのは、スタッフのみなさんが現場を準備し、暖かくなれる場所を整えてくださったからです。そういう心遣いやチームとしての団結が、過酷な撮影環境でもクオリティの高いものを作れた理由だと思います。

原作へのリスペクト「連載当初から読んでいた」
山﨑賢人とのアクション共演
