エリザベス女王といえば、色彩鮮やかなファッションも注目の的でした。

エリザベス女王の次男、アンドリュー王子が未成年者の性的虐待疑惑で訴えられたり、ヘンリー王子の王室離脱など、スキャンダルも少なくなかった英国王室。しかしエリザベス女王は国民とともにありたいと願い、「信じてもらうためには見てもらわないといけない」と考えたのです。
自らの装いを、人々の視線を集めるための戦略ととらえました。大輪の花が咲いたような赤、オレンジ、黄などを見事に着こなし、色に負けないくらいの笑顔を振りまきます。その結果「国民の3人に一人が女王を見たことがある」というBBCの調査結果まであるほどになりました。

『英国女王が伝授する 70歳からの品格』より
ファッションアイテムに関しては、上質な品を長く持たせていたようです。100%オーダーメイドの黒のシンプルな靴は、お直しを繰り返して履いていたといいます。30万円以上と目されるバッグも、痛めば修理に出すなどして長年愛用していました。こういったきめ細やかな心遣いも、エリザベス女王の魅力なのでしょう。
英国王室の歴史で、今もなお私達の記憶に残るのは、ダイアナ妃の事故死ではないでしょうか。
「私は彼女に感銘を受け尊敬していました」とはエリザベス女王の弁ですが、ダイアナ妃は日本での人気も高かったため、イギリスはもちろん日本、そして世界中が悲しみにくれました。
事実、「在位中最大の危機」と言われたダイアナ妃の死。乗り終えたのは、国民に寄り添うエリザベス女王の言葉だったと本書。エリザベス女王とダイアナ妃、お互いを見つめるまなざしには、愛と尊厳が感じられるのです。

『英国女王が伝授する 70歳からの品格』より
エリザベス女王は3男1女に恵まれましたが、4人のうち3人が離婚(2人が再婚)しています。「母親であることは、何よりも大切な仕事です」と、母であることを誇りに思い、子供達への愛もゆるぎなかったに違いありません。
とはいえ、母親である前に女王でした。子供達に十分な愛情を注ぐ時間がなかったと、自分を責めることもあったそうです。