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NHKドラマで「山下智久の中学生時代」を演じた19歳俳優が話題。顔が似てるだけじゃない“再現力”

現在の山下の真骨頂を再現

 第5話冒頭の回想場面を見てみる。足が一番遅いのにリレーの選手になってしまった梅村。「おい、誰だよ悪口言ってんの」というはつらつとした財地(高野陽向)の一声に、クラス全員が注目する。歩み出た彼はまるで正義のヒーローのように彼女をかばう。正直すぎるが故に潔く、カッコいい。  嘘八百でトップセールを誇っていたものの、人知を超えた力によって正直営業に様変わりした財地だったが、もともとが正直者だったのだ。悪戦苦闘しながらもいつしか正直スタイルが板についてくる。  この変化をとにかく軽妙に演じる山下にとって、これは紛れもない新境地だった。クールなイメージが強い山Pがうわずった声であえてクールなトーンをおさえる。  これが絶妙にコミカルなスタイルの演技になっているのだが、高野もまたこのトーンを再現することに心血を注ぐ。腹に重心を置いて台詞の一字一句をハキハキ発しながら、ぶれないトーンを保つ。  必ずしも山下の若い頃に似ているとか寄せるとかでなく、むしろ現在の山下の真骨頂を再現することに徹したことに勝算があったんじゃないだろうか。

納得のサイレント出演

 高野のドラマデビューは本作だが、演技初挑戦は麗奈のアルバム『君とあなたと私と僕と、情熱と』の1stトラック「小さな恋」のミュージックビデオ出演ということになるのだろう。同作では韓国のインフルエンサーであるらんの相手役として肺病を患う男性に扮している。  病をおして気持ちを伝え合う若い恋人たちのストーリーは、全編サイレントだが、その分、高野は、表情で勝負しようとする。アコースティックギターのストロークの上下に合わせて、初々しくも生命力あふれる。高野の横顔が特に印象的。  声なくして表情だけでキャラクターの性格まで伝える。声がさらに吹き込まれたら、どうなっていたか。サイレントではない『正直不動産2』で、声の演技に意識的だったことはこれで納得だ。
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SNS世代の大型新人・高野陽向
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