「あってもなくてもいいけど、あれば豊かになるもの」
観る人が何に共感してくれたのか、今、人々はどういう状況に置かれているのか。たとえばみんな日頃は言えないことをドラマを通して声を上げることがあるのかどうか。前作では、SNSでも「私も夫を抹殺したい」「自分の場合は夫のここが許せない」などたくさんの声が上がった。
今の時代にあっても我慢している女性が多いこと、そして率直に話し合えない夫婦の多さが印象的だったと倉地さんは言う。

「SNSで発散するのも悪いことではないけれど、直接向き合って話し合うべき、個人と個人の関係は向き合わなければ進まないと個人的には思います。でも自分を振り返れば、必ずしもそれができているとも思えないし、
発信する手段が増えているからこそ直接向き合うことを回避してしまう人が多いのもよくわかるんです。だからこそ、このドラマがそのひとつのヒントになれたら、こんなうれしいことはないと感じています」
世の中には「あってもなくてもいい」ものがあると彼は言う。災害や政治の話のほうが社会的には重要だ。テレビドラマを観なくても生きていける。それでも「あれば豊かになるもの」でありたいと熱がこもる。
「自分がドラマを観て憧れや夢をもらったから、ほんの少しでも誰かを救うものを作りたい気持ちはあります」
“原作の本質”をきちんと見すえた上でどう作っていくか
企画をたてて放送していく上で責任をとるのがプロデューサー、ドラマを形にするのが監督の役割だとするなら、
「このドラマで何を伝えたいのか」は、すべてのスタッフやキャストが共有しなければならないと彼は言う。
原作がある場合のドラマ作りに関して世間では大きな話題となっている。
「
“原作の本質”をきちんと見すえた上で、生身の人間を通して観てもらうドラマにどう作っていくかが重要だと思うんです。そういうところもやはり“話し合い”が大事ですよね。話さないから誤解されたり説明が行き届かなかったりするところは大きいと思う。人間関係の問題のすべてが向き合わないことに起因しているのかもしれませんね。言いたいことを言うのは案外むずかしいことだから」
終始、言葉を選びながらも明るい口調で話してくれた倉地さん。まずはこの先の『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』の今後が楽しみだ。
<取材・文・人物撮影/亀山早苗>