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背後から耳をハムッ。女性用風俗の施術を盗み見るようなシーンが官能的すぎてとろける|ドラマ『買われた男』

施術シーンの緩急緩のリズムにうっとり

「買われた男」 このカウンセリングが、豊かな前奏曲となり、シャワーからベッドへの露骨な性的運びがうまく回避されている。ただし、回避されるだけにベッドへの想像力がどんどん豊かになる。  ベッドにうつ伏せになったのどかの背中から施術がはじまる。するとそれまで敬語だったヤマトがいきなりタメ口になる。このしたたかな切り替えには思わずハッとする。あとは身を任せるままに……。  照れ隠しに喋ろうとするのどかを制止するように、無言のヤマトが耳をハムッ。とろけるこの感覚。仰向けになるよう促し、今度は唇と唇のキス。カウンセリングからこのキスまで、緩急緩のリズム。音楽的な施術の流れにはうっとりする。

客とセラピストだけの“聖域”

 ヤマトを演じる瀬戸利樹のことはあまり注目してこなかったが、今回ばかりはやられたなぁ。のどかの背中やら耳の裏に押し当てる唇。キスの音がヤバい。終始、受け手の佐藤玲も官能的響きに自然と応えるかのような演技。  女性用風俗の施術をこんなに盗み見ていいものだろうか。いち視聴者としてなんだか罪悪感すら。と同時に、ちょっと行ってみたくなる(いや、行けないけど)。  施術後、のどかが外していた結婚指輪をヤマトが手渡す。のどかはそれを薬指に戻す。何かが吹っ切れた彼女は静かに涙を流す。  ここでは、結婚指輪というリアルが、セラピストからの温かな眼差しに包まれるファンタジーに溶け込む。そしてさっと夢が覚める。この密室は、いわば、客とセラピストだけの“聖域”なのだ。
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「茶道」と通じる施術
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